断食ダイエットしている人は要注意!?「脂肪肝リスクが高い人の決定的特徴」21項目【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

肝臓病は、原因はなんであれ肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していくことがあります。これは、日本人の3人に1人といわれる「脂肪肝」も例外ではありません。脂肪肝のリスクは、体格、生活習慣、病歴や健康診断の数値である程度知ることができます。本稿では主に「体格、生活習慣、病歴」に着目し、脂肪肝をセルフチェックしていきましょう。

なぜ、脂肪肝をセルフチェックしておくべきなのか?

■脂肪肝リスクを知ればさまざまな病気の予防に役立つ

残念ながら現時点では、血液検査で脂肪肝や脂肪性肝炎を確実に診断する項目はありません。通常、医師は血液検査に加え、超音波や画像診断などを基に診断をしていきます。

 

お酒を原因としない脂肪肝のうち、肝硬変や肝がんに進行し得る「NAFLD/NASH」(図表1参照)は、まだ研究段階の部分も多いため、診断方法(診断アルゴリズム)が確定していないのが現状です。

 

[図表1]脂肪肝の分類

 

ただしNAFLDやNASHになりやすい人のプロフィールは少しずつ明らかになってきていますし、健康診断等の数値からある程度のリスクを把握できるようになってきました。それらの見方を知って、まずはセルフチェックをしてみるといいでしょう。そして自分はリスクが高い方だと分かったら、内科や消化器専門医を受診して適切な指導や精密検査を受けましょう。

 

肝臓という臓器は自覚症状が出にくいため、健康診断や人間ドック等で「脂肪肝の疑いあり」と指摘された場合にも、医療機関で脂肪肝の検査を改めて受けてください。生活習慣病と脂肪肝は合併することが多く、脂肪肝のリスクを先にとらえておくことで、両方の予防・改善にいち早く取りかかれるというメリットがあります。単純な脂肪肝のうちに病気の芽を見つけて、生活改善に取り組むことができれば、多くの病気を防ぐことができます。検査結果に応じ適切な生活改善や経過観察などを続けていくことが、大事な肝臓を守ることにつながります。

症例:「NASH肝がん」の最も典型的なパターン

■35歳で糖尿病や脂肪肝が発覚。生活習慣を改善しなかった結果…

セルフチェックに入る前に、NASH肝がんの症例を一つ紹介しておきたいと思います。49歳、男性、肥満、メタボリック症候群、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の患者のケースです。彼は35歳のときに検診で糖尿病と脂質異常症、エコーで脂肪肝(NAFLD)が判明しました。

 

最初の治療では、総合病院に通院し、インスリン注射による血糖コントロールが行われていました。ただ通院が大変だということで、その後勤務先に近い私のクリニックで治療を受けることになったのです。この時点でHbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー/糖尿病のリスクを判別する検査、過去1〜2ヵ月間の血糖値の平均)は8〜9%(正常値5.5%以下 糖尿病予備群6.0~6.4%)を行ったり来たりしているような状態でした。糖尿病のコントロールはうまくいっておらず、減量もできていませんでした。

 

その後40歳で脂肪肝の進行の疑いがあり、肝生検によりNASHと診断されました。私のクリニックでは、脂質異常症と糖尿病の薬、肝臓の薬として飲み薬であるウルソデオキシコール酸を処方し、グリチルリチン製剤を週1回注射し経過を見ることにしました。

 

しかしNASH発症から4年後には、肝線維化が進み肝硬変に移行しました。さらに49歳で腫瘍マーカーα-フェトプロテインが上昇し、画像検査で大きな肝がんが見つかりました。

 

糖尿病の患者の場合、さまざまな合併症が考えられるため外科的な治療が行えず、がん治療の選択肢が非常に少なくなってしまう場合があります。この人のがんは非常に大きかったため、焼灼療法というラジオ波でがんを焼き切る方法も選択できませんでした。

 

結局、当時では臨床試験の段階だった副作用の少ない分子標的薬での治療が始まりました。薬物療法が効いて、投薬から4ヵ月後にはある程度がんが縮小してきました。ですが、ここまで進行した肝がんの完治は難しく、肝不全もあり得るステージに入ってきています。予後は非常に厳しいといえます。

 

この例は、NASH肝がんの最も典型的なパターンだといえます。経過から分かるように、10〜15年かけてNASH→肝硬変→肝がんへと進行しています。治療によって多少寿命は延長したとしても、生活習慣が変わらない限り、脂肪肝は解消されず、NASHになると肝硬変、肝がんへの進行はなかなか止められないのが現実です。

 

この人の場合にはメタボやNAFLDが判明した35歳の時点が運命の別れ道だったと考えられます。このときに真剣に減量に取り組むことができていたら、肝がん発症を防げたかもしれません。それほどまで生活習慣の影響は、脂肪肝や生活習慣病に対しては大きいのです。

「脂肪肝のリスク」をセルフチェック

肝臓が悪くなる原因はさまざまなものがありますが、脂肪肝の主な原因は、食べ過ぎ、飲み過ぎ、大量飲酒による肥満です。体格、生活習慣、病歴や健康診断の数値である程度リスクを知ることができます。

 

次の項目が当てはまるかどうかチェックしてみてください。

 

【体格チェック】

□BMIが25以上である ※1

□腹囲(ウエスト周囲径)が男性85cm以上、女性90cm以上

□20歳時より、体重が10kg以上増加している

□最近10年以内で体重が5kg以上増えた

 

※1 BMIの計算式は[体重kg]÷[身長mの2乗]

正常18.5≦BMI<25 肥満 BMI≦25 理想 BMI=22

 

【生活習慣】

□毎日お酒を飲む(→アルコール性脂肪性肝炎)

□食事の過剰摂取をしている(カロリーオーバー、高カロリー食の摂り過ぎなど)※2

□糖質(炭水化物)の割合が多い

□塩分を摂り過ぎている ※3

□魚や野菜をあまり食べない

□夕食後、夜遅くに何か食べる習慣がある

□早食いである

□間食が多い

□甘いものが好き

□絶食などの極端なダイエットをしている

□運動をほとんどしない

□座っている時間が長い

□ストレスが多い生活が続いている

□いつも睡眠不足である

 

※2 摂取カロリーの目安は図表2参照

※3 1日塩分量の目安 男性7.5g未満、女性6.5g未満(厚生労働省)

 

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より作成
[図表2]日本人の食事摂取基準(推定エネルギー必要量) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」より作成

 

【年齢・病歴など】

□男性である

□女性で50歳以上である

□Ⅱ型糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病がある

 

■体格や生活習慣で一つでも当てはまったなら要注意

これらはどれも脂肪肝の発症要因に関連しています。特に体格面でBMI25以上の肥満がある人やメタボリック症候群の人の脂肪肝有病率はおよそ60%程度であるとの報告があります。もし体格や生活習慣で一つでも当てはまったなら要注意です。いくつも当てはまる人はそれだけ深刻な状況ととらえ、脂肪肝の検査を受けることをお勧めします。

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

 

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みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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