(※写真はイメージです/PIXTA)

老親の資産を守る方法、あるいは将来の相続税の節税対策として、複数のスキームが知られています。目的に合致すれば有益である一方、場合によってはメリットが得られない、かえって使いが手が悪くなってしまうこともあるため要注意です。相続専門税理士が平易に解説します。※本記事は『相続専門の税理士、父の相続を担当する』(あさ出版)より抜粋・再編集したものです。

相続税の納付方法を検討しておく

相続税は「相続開始から10ヵ月以内」に、「現金による一括納付」が原則です。

 

相続財産の大半が、現金化しにくい財産(不動産など)の場合、現金での納付が困難になる可能性があります。換金しにくい財産を生前に処分するなどして、納税資金を確保しておくことが大切です。

 

私の場合は、実家の裏山を売却して得たお金を納税資金に充てました。

 

「相続税がいくらになりそうか」を試算して、「納税資金(現金)が不足する」ことが明らかであれば、納税資金の調達方法を早めに検討しておきます。

 

◆相続税の納税対策

 相続税額の試算 

 

相続税額の試算遺産総額 - 基礎控除額 = 課税遺産総額

課税遺産総額 × 相続税率 - 控除額 = 相続税額

※ あくまでも試算。実際は基礎控除のほか、各種の控除や加算される


 納税資金のおもな調達方法 


★資産の組み換え

「不動産を売却して現金化する」など。


★生前贈与

贈与によって譲り受けたお金を蓄えて、納税資金に充てる。


★生命保険の活用

死亡保険金は、数日で現金化が可能。


★「納税準備預金口座」の開設

多くの金融機関では、個人・法人を問わず「納税準備預金口座」を開設できる。納税準備預金の利子に対する所得税は、原則として非課税。


★延納、物納

現金で一括納付できない場合、一定の要件を満たせば、納められない金額について延納の制度を利用できる。延納した金額には利子税がかかる。

延納によっても納付できない場合、金銭による納付ができない金額を上限に、相続財産の物納ができる。


★金融機関から融資

金融機関から融資を受けて支払う。融資の利率が「延納の利子税」と比べて低ければ、金融機関から借り入れを行ったほうが有利。

 

 

清田 幸弘
ランドマーク税理士法人 代表税理士

 

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相続専門の税理士、父の相続を担当する

相続専門の税理士、父の相続を担当する

清田 幸弘

あさ出版

相続税の申告を6,000件超、相談を22,000件超担当―― 日本トップクラスの実績を誇る相続のプロが初めて経験する特別な案件、それが自分の父親の相続でした。 収益を生まない裏山の売却を提案しても首を縦に振ってもらえな…

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