(※写真はイメージです/PIXTA)

老親の資産を守る方法、あるいは将来の相続税の節税対策として、複数のスキームが知られています。目的に合致すれば有益である一方、場合によってはメリットが得られない、かえって使いが手が悪くなってしまうこともあるため要注意です。相続専門税理士が平易に解説します。※本記事は『相続専門の税理士、父の相続を担当する』(あさ出版)より抜粋・再編集したものです。

家族信託…万一親が認知症になっても安心!

家族信託とは、文字通り「家族を信じて託す」の意味で、

 

「財産を管理・運用・処分できる権利を子どもや親族に渡すことができる契約」

 

のことです。

 

家族信託を設定しておけば、財産の所有者である親が認知症になった場合でも、子ども(親族)は財産の管理・運用・処分ができます。

 

「認知症対策をしたい場合」

「成年後見制度(せいねんこうけんせいど)以外の方法を検討したい場合」

「障害を持つ子どもがいる場合」

 

などに必要とされる財産管理方法です。

成年後見制度…金銭管理・契約等を頼めるが、注意点も

成年後見制度とは、高齢化などにより判断能力が低下した人に対して「後見人」を立てて、金銭管理や法律に関する契約を代わりに行ってもらう制度です。

 

家庭裁判所によって任命された後見人であれば、判断能力の低下した人の財産管理ができます。

 

もしも、当事者が判断力の低下で誤った契約や取引をしてしまった場合には、後見人の判断で取り消しが可能です。

 

相続においては、「相続人の間の遺産分割」「相続人への名義変更」のために成年後見制度を必要とする場合があります。

 

ただし、成年後見制度の場合、

 

「後見人へ報酬の支払いが発生する」

「親族以外の第三者が選出される場合がある」

 

ため、家族の財産を他人に管理させたくないのであれば、「家族信託」を利用して家族のみで資産管理を行うこともできます。

農地等の納税猶予制度…農業継続予定なら活用OK

農地を相続した場合、農地に対して高額な相続税がかかると、農業が継続できない可能性があります。

 

そこで、農地を取得した相続人が引き続き農業を営む場合、一定の要件を満たせば相続税額の納税の猶予をもらえます。

 

この特例は、農業を継続するための猶予制度です。

 

譲渡や農地以外への転用、または農業経営の廃止等、農業を営まなくなった場合には、利子税とともに猶予されていた相続税を納付しなければなりません。

 

私の場合は、「農業を継続する」という選択がなかったため、この制度は利用していません。父が所有していた農地は母が相続しているので、今後は売却をして資産の組み換えを行う予定です。

事業承継税制…事業の後継者の相続税納税を猶予

事業承継税制は、会社や個人事業の後継者が取得した一定の資産について、贈与税や相続税の納税を猶予する制度です。

 

「非上場株式等についての贈与税・相続税の納税猶予・免除」「個人の事業用資産についての贈与税・相続税の納税猶予・免除」が正式名称です。

墓地、墓石の購入…生前に現金で購入するのがポイント

墓地・墓石は、相続税の非課税財産になります。墓地、墓石、仏壇、仏具などは、祭祀(さいし)財産といい、相続税はかかりません。

 

ただし、生前に購入する場合と、相続後に購入するのでは、相続税額に大きな差が出ます。いずれ購入するのであれば、「生前に購入する」と、課税対象となる現金が減るために節税が期待できます。

 

ローンで購入して完済前に亡くなった場合、残額は債務控除にはなりません。生前に現金で購入することが重要です。

 

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相続専門の税理士、父の相続を担当する

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清田 幸弘

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