(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 21,067.58 pt (▲3.39%)


中国本土株指数 7,340.52 pt (▲3.54%)


レッドチップ指数 3,745.80 pt (▲1.95%)

売買代金1,593億9百万HK$(前日1,803億5百万HK$)

 

週明け13日のアジア時間の取引でも、先週金曜日の米国株式相場の流れを引き継ぎ、米国株先物は、主要3指数が揃って前営業日比約2%近く下落した。これに連れる形で、アジア主要株式指数も大幅に反落した。香港取引所の株価は大幅に下落、ハンセン指数は一時800pt超下げ、21,000ptを割りこんだ。内外の懸念材料から投資家のリスク回避姿勢が強まり、ハンセン指数は前営業日比3.39%安と3日続落した。東京証券取引所でも、日経平均は800円超の大幅下落と前日比3.0%安で引けた。

債券利回りも急上昇

先週末、米国労働省が発表した消費者物価指数CPI(5月)は前年同月比8.6%上昇し、約40年半ぶりの高水準となった。今週は14-15日にFOMCを控え、市場予想では今月、来月は50bpsの利上げを織り込み、9月も同幅の利上げが予想される。一部の参加者の間では3回の利上げの内、75bpsの利上げに踏み切るとの声も出てきた。FRBが物価上昇を抑制するために利上げを急ピッチで進めるとの見方から、債券市場の債券価格は下落し、米5年債金利は3.3%を超えて2008年来の高水準、米10年債金利は3.22%台を付け2018年来の高値を突破している。

 

米ドル金利の上昇を受けて世界各国の債券市場は軒並み大幅に値を下げた。イタリア10年債金利は3.95%を突破した。ドイツ10年債も利回り1.55%をつけた。いずれも2014年以来、最も高い水準である。日本国債も例外なく、売り圧力に押された。10年日本国債利回りは、0.255%まで上昇し、日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)の上限0.25%を突破した。日銀はすぐに、残存期間5年超10年以下を対象とし、5000億円規模の債券買いオペの追加を発表し、金利の上昇を抑え込む姿勢を示したが、YCCの上限を超えたという意味は大きいだろう。

ドル円相場は24年ぶりの安値へ

13日為替相場でドル円は一時、1998年10月以来約24年ぶりとなる135円19銭まで下落した。日銀の黒田総裁は同日の参院決算委員会で、最近の急速な円安の進行は「先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするなど経済にマイナスで望ましくない」と述べた。しかし、為替介入に関しては、鈴木財務相がコメントを控えるなど、注視するだけの打ち手なしの状況である。今週17日には日銀政策決定会合を控えるが、市場は、日銀が金融緩和を継続するしかないと見透かしており、円安に歯止めをかけるような具体的な行動には出られないと見ている。円安圧力は続くだろう。

 

(出典:Bloomberg)
(出典:Bloomberg)

 

中国では再び感染者がリバウンド傾向へ

北京や上海では、新型コロナ新規感染者が増加傾向にあり、12日は143人(無症状者含む)が確認されて、3日連続して100人を上回った。新規感染者が確認された上海市では、週末に大規模なPCR検査を実施し、上海は屋内での食事を禁止するなど再び都市封鎖が実施されるとの懸念も強まっている。北京市朝陽区のバーでは13日までに228人の新型コロナウイルスのクラスターが発生し、朝陽区は12日から3日間にわたって対象約350万人にコロナ検査を実施すると決定した。北京市では学校の再開を再延期し、スポーツイベントの開催をすべて中止することを決定した。

 

先週、追加経済対策とロックダウン解除への期待が高まった中国株式相場だが、中国では、米FRBの金融引き締め加速が警戒された上、新型コロナウイルスの感染が確認されたことが嫌気された。上海総合指数終値は前営業日比0.89%安の3,255.55、CSI300指数は、同1.19%安の4,189.35で取引を終えた。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

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