前回に引き続き、受け取った保険金を有効に使う方法を見ていきましょう。今回は、保険金を無駄にしないための「計画の立て方」を説明します。

大金の管理に自信が無ければ「分割受取」の検討を

前回の続きです。

 

もし、大金の管理に自信がないのであれば、保険金を月ごとに分割して支払ってくれる保険もあります。そのような保険を選んでおけば、給料のように毎月振り込まれるので一度に大金を使ってしまうような失敗も防げます。

 

家族の将来のために、何にどれぐらいのお金を使うのか、その優先順位を付けておかないと、大金の管理はできません。管理ができなければ、せっかくの保険金が「死に金」になってしまいます。

 

保険金をきちんと管理し、その本来の役割を果たすために、生きたお金にするために、事前に夫婦で話し合って決めておくことが必要なのです。

保険金を有効に使うため、収入と支出の管理を徹底する

何度も言いますが、保険を考えるということは、自分の未来を、そして家族の未来を考えることです。自分がどのように生きていこうとしているかを確認するチャンスです。自分の一生で、どれぐらいの収入があり、どれぐらいのお金が出ていくのか。どれぐらいのお金があれば、夢が叶うのか。いわば、企業の事業計画書のようなものです。

 

どんなに立派な事業計画書を作っても、お金が入ってこなければ、会社は事業を続けられず倒産してしまいます。会社が存続するために一番大切なのは、キャッシュフローです。お金の出入りをきちんと管理できているかどうかが重要で、これを怠るとどんなに大きな企業でも倒産してしまいます。

 

これは一般家庭も同じです。いかなるときも収入と支出の管理をどうするかを考えておかないと、家計が破綻します。

 

年収が数千万円もあるようなら、わざわざ保険で準備しなくても、自分で貯金をしておけば何とかなるかもしれませんし、あるいは多少保険料が多くなってもたっぷりと保険金がもらえるような保険に加入できるかもしれません。

 

しかし、そうではない私たちは、夢や希望を叶えるためとはいえ、湯水のように保険料を払うわけにはいきません。限られた収入の中から、そう安くはない保険料を捻出するのです。

 

すべての夢を叶えられる保険金が準備できるかといえば、難しいのが現実でしょう。だからこそ、夫婦で話し合って夢や希望に優先順位を付けるのです。

 

自分たちが実現したい夢や希望の、すべてをまかなうことはできないかもしれないけれど、「これだけは」と思うものを実現できるような保険を準備する。それが保険の本来の役割だと考えます。

 

このところ、多少は景気も上向いているとはいえ、所得が増えていると実感が持てている人は少数です。少しずつ所得が増えつつあるとはいえ、低所得者層も拡大し、格差が問題視されています。だからこそ、保険というものを皆さんにきちんと考えてほしいと切に願うのです。

 

何となく・・・とか、一般論で保険に加入してはいけません。かつての一億総中流、年功序列の時代であれば、同じ会社の先輩の姿を見ていれば、数年後の自分が想像できたでしょう。

 

皆が社宅に住み、何年後に役職に就き、どれぐらい給料が上がるのかまで、大体は想像できたはずです。そんな時代なら、保険も先輩の加入しているプランを真似すればよかったかもしれません。

 

けれど、今はそのような時代ではありません。年功序列はすでに過去のものですし、多少景気が上向いてきたとはいえ、昇給が毎年順調に繰り返される保証はどこにもないのです。限られた収入の中から保険に加入するのですから、最大、そして最高に効率の良い保険を選ばないと、困るのは皆さんの家族です。

 

本来救うべき家族を困難に追いやり、決してやり直しはきかず、しかも後悔しようにもご自身はすでにこの世にいない・・・。間違った保険を選んだら、そのような未来が待っています。これは決して脅しではなく、これまでさまざまなケースを見てきたから言えることです。

 

パートナーが亡くなって家計の収入が途絶えたとき、そこを支えるのが保険です。生活を支え、残された家族の夢を叶えてこそ、保険金の生きた使い方というものです。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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