前回は、人生で一番高い買い物ともいえる「保険」を選ぶ際の留意点を説明しました。今回は、保険への加入を「先延ばし」にしてはいけない理由を見ていきます。

病気の「告知義務」は想像以上に厳格

これまで言ってきたことと矛盾しているのではないかと思われるかもしれませんが、本心で言えば保険は役に立たたないのが一番です。というよりも、保険が役に立つ日など来なければいい、そう考えています。

 

保険が役に立つとき、それは誰かが悲しんでいるときです。親しい家族を亡くしたり、病に倒れたり、ケガをしたり、そういったときでないと保険が役に立つことはありません。ですから、保険が役に立つ日など来なければいいのにと願うのです。

 

しかし、残念ながらその日は必ずやって来ます。いつかはわかりませんが、1年後か、10年後か、50年後か、もしかしたら明日、その日がやって来てしまうかもしれません。

 

だからこそ、一日でも早く、一人でも多くの人に自分の保険をもう一度見つめ直してもらいたいのです。未加入の方はすぐにでも行動に移すべきです。

 

命よりも大切なよほどの事情があって保険に加入しないのであればともかく、ただダラダラと先延ばしにしているのはやめましょう。その間に事故に遭ったら、病気になったら、死んでしまったら・・・。加入できる保険もそのときには加入できなくなっているかもしれません。

 

実際に、「あと3カ月早く相談に来てくれれば・・・」という経験をしているプランナーはたくさんいます。

 

健康診断で再検査になってしまったからと相談にみえたお客様がいます。当然ですが、この段階で一定期間は保険に加入できなくなります。また、相談に来た直後に血便が出てしまい、病院で検査をしたというお客様もいらっしゃいました。

 

相談に来たときは、お客様ご自身も自覚していなかったのですが、この場合も、たとえ検査結果に異常がなかったとしても、告知義務がありますから、しばらくは保険に加入できない期間ができてしまいます。

 

告知義務というのは、保険に加入するときに健康状態や通院歴、治療歴などを事前に保険会社に告知するものです。

 

保険に加入する場合、通常は告知書を提出するか、医師の診断を受けて、健康に問題がないこと、もしくは問題があることを保険会社に告知しなければなりません。告知書で済むのか、医師の診断が必要かは、保険会社や加入したい保険商品によって変わります。

 

告知書には「過去○カ月以内に医師の診察を受けているか」とか「○年以内に○日以上の治療を受けているか」といった項目があります。先ほどのように健康診断で再検査になったとか、血便が出て検査をしたというような場合、その段階で告知しなければなりません。

 

よく、黙っていればわからないだろうと、この告知義務を甘く考えている人がいますが、皆さんが思っている以上に告知義務は厳格に行われています。

 

もし、この告知義務に違反したことが発覚すると、保険契約は解除されてしまいます。もちろん、それまでに支払った保険料は戻りませんし、保険金の給付もありません。これまで支払ってきた保険料がすべて無駄になるばかりか、告知義務違反が発覚した後は当分保険に加入できなくなってしまいます。

 

医師の診察にかかった理由が、たとえ花粉症や風邪、虫歯治療程度の軽微なものであったとしても、告知は必要です。それぐらいに厳しいものなのです。

 

もし、この告知義務違反をして結果的に保険金が給付されないようなことがあったら、それこそ最悪の結果を招きます。ですから、なるべく健康なうちに保険に加入してほしい、私がそう何度も繰り返すのはそういった理由からです。

「肝心な時」に保険に加入できない可能性も

転ばぬ先の杖と言います。歳をとって健康に不安を感じ始めてから保険を考えるのではなく、若くて健康なうちから保険で備えておいたほうが、役に立つ「杖」を準備することができます。病気になる前に、保険に加入してほしいのです。

 

もちろん、命よりも大切な事情があり、それでも保険に加入しないという選択をするのであれば、それはそれでかまいません。自分自身で考え、ご家族も納得して出した結論であれば、外野の私たちが口を出すことではありません。

 

でも、もし皆さんが今健康であり、本書を手に取り「役に立つ保険」の必要性を感じているのであれば、一日も早く「役に立つ保険」に加入することを強くお勧めしたいのです。

 

いざ、保険に加入したいという段階になって、加入を断られることになったら、この無為に過ごした時間を悔いることになります。そうならないために、早めに「役に立つ保険」加入してほしいと切に願っています。

 

ほけんの110番のプランナーの中には、身内が肝心のときに保険を解約した後だったという悔しい経験をしたから入社をした社員もいます。

 

保険が役に立たなかったときや保険に加入していなかったときの本当に悔しい思いは、経験した人にしかわからないものなのかもしれません。でも本当は、誰一人そのような経験をしなくてもよいように、保険が存在するのです。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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