前回に引き続き、良い保険に加入するためのポイントを見ていきます。今回は、保険を選ぶ際に重要な「夫婦間の意思の共有」について考えてみます。

子どものための保険金を夫が趣味に費やしたら・・・!?

前回の続きです。

 

保険ショップでも、同じようなことがよくあります。保険のコンサルティング時に、事前にヒアリングシートというものを記入してもらうのですが、そこにはお金の使い道として教育費、住居費、家電の買い替え、老後の資金、旅行など、いろいろな項目が列記されています。

 

ご夫婦に対して「この中のどれに一番お金を使いたいですか」と聞き、せーのドン! で同時に指を差してもらいます。ほとんどの場合、二人の意見は一致しません。

 

二人が生きているうちなら、まだ修正の方法もあります。話し合いの末、ご主人がフェラーリを売却するかもしれませんし、奥様がご主人の夢への熱意に納得するかもしれません。しかし、保険となると話は別です。なぜなら、保険金が支払われるとき、すでに皆さんはこの世にいないからです。

 

皆さんが奥様の立場で「私が死んでも、子どもに不自由な思いをさせないように」という思いで保険に加入したとしましょう。ところが、奥様が亡くなって支払われた保険金を、ご主人が自分の夢を叶えるために使ってしまったとしたらどうなるでしょうか。

 

答えは、なす術がないのです。ご主人がフェラーリを買おうと、ベンツを買おうと、既に死んでしまっている奥様にはどうしようもできません。「主人も子どものことを第一に考えてくれると思っていた」などと言っても後の祭りです。

 

これでは、皆さんはいったい何のために安くはない保険料を払って保険に加入していたのかわかりません。だからこそ、生きているうちに自分の意思を相手に伝えて、保険金の使い道に反映してもらえるようにしておかなければならないのです。

 

互いの意思を確認し、互いに共有できていれば、「まさか」という事態を避けることができます。ここさえきちんと共有できていれば、「良い保険」を作る第一歩は無事に踏み出せたも同然です。

保険は家族の「夢」を叶えるために存在する

極端な例を挙げるなら、この意思の共有がしっかりなされてさえいれば、保険金でフェラーリを買っても、世界一周旅行に行ってもかまわないのです。

 

それが夫婦にとって、ご家族にとって互いの夢を叶えることであるのならば、まったく問題はありません。保険金の使い道は人それぞれですから、夫婦やご家族の間で同意・共有ができてさえいればそれでよいのです。

 

子どもの教育費に使いたいというご夫婦もいるでしょうし、子どもはいないから老後の資金として貯蓄しておきたいという人もいるでしょう。どんなにささやかな願いでも、それは立派な夢です。その夢を叶えるために、保険はあるのです。

 

ところが、それほど大事なことなのに、将来の夢や希望をきちんと話し合っているご夫婦はほとんどいません。

 

保険を考えることは、夫婦の、そして家族の未来を考えることです。お互いに、将来にどのような夢や希望を持っているのか、それを二人で話し合わなくてどうするのかと、逆に皆さんに聞きたいくらいです。互いの希望がわからなければ、万が一のときに夢を叶えるために必要な保障の額などわからないのですから。

 

ご夫婦の将来の夢がフェラーリのオーナーになることだったとしたら、どちらかが亡くなってもフェラーリの購入資金を保険で準備すればよいのです。

 

お互いに生きていれば、働いて得た収入でフェラーリを買えばいいのですが、どちらかが亡くなってしまった段階で夢を諦めることのないように備えておく。これこそが保険の役割です。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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