個人的なトラブルを会社顧問弁護士へ相談は…
会社に顧問弁護士をつけている場合、先ほど挙げたような経営者個人にまつわる法的トラブルを会社の顧問弁護士へ相談してもよいのでしょうか?
顧問弁護士との契約内容によって異なる
経営者個人の法的トラブルを会社の顧問弁護士へ相談してもよいかどうかは、まずその顧問弁護士との契約内容によって異なります。通常、契約では相談できる内容が会社に関することに限定されていることが多いでしょう。
ただし、顧問弁護士が個人的に相談をしたい内容について、その弁護士に知見がある場合、顧問料とは別途料金を支払うなどすることで、相談に乗ってもらえる場合も少なくないと考えられます。
会社との利益相反に注意が必要
会社の顧問弁護士へ経営者個人の法的トラブルを相談する際には、弁護士の立場に注意しなければなりません。
会社の顧問弁護士は、原則として会社の味方です。経営者が抱える法的トラブルの内容によっては、会社と経営者との利害が対立する場合があります。その場合、会社の顧問弁護士は、原則として経営者個人ではなく、会社の味方となります。
会社の顧問弁護士に個人的な法的トラブルを相談する際には、この点をよく理解しておくようにしましょう。
会社の悩みと個人の悩みの相談先を分けるメリット
会社の顧問弁護士が相談に応じてくれる場合であっても、経営者個人の法的な悩みは別の弁護士に相談したほうがよい場合もあります。
その主な理由は、次の3点です。
個人の悩みに強い弁護士へ相談することができる
弁護士は一定程度法律には詳しいですが、弁護士によって得意分野は異なります。そのため、企業法務に強い会社の顧問弁護士が、経営者が個人的に悩んでいる分野にまで詳しいとは限りません。
個人の法的トラブルについては、その分野に特化した弁護士に相談したほうが、解決への近道となるでしょう。
会社の顧問弁護士には相談しづらい内容も気兼ねなく相談できる
会社の顧問弁護士とは、オンオフでいうところの「オン」の場で関わる存在です。一方、個人的な法的トラブルを相談するには、どうしても「オフ」の面を多く晒さざるを得ません。
そのため、会社の顧問弁護士には遠慮の思いや経営者らしく振舞わねばとの思いなどから、プライベートの深い部分までは相談がしづらい場合もあるかと思います。
また、仮にプライベートな問題の解決への取り組みに満足ができなかったとしても、会社で今後もお世話になるからという思いから、希望を伝えにくいと感じてしまう人もいることでしょう。
会社の顧問弁護士とプライベートな悩みを相談する弁護士とを分けることで、気兼ねなく相談することが可能です。
会社との利益相反となり得る内容の相談ができる
会社と経営者とは、厳密にいえば別人格です。そのため、先ほど解説したように、悩みの内容によっては経営者と会社との利益が相反してしまう場合が存在します。
会社の顧問弁護士へ相談する際には、この点を常に念頭に置いて相談内容を選ばなければなりません。
一方、会社の顧問弁護士とは別の弁護士に相談する場合、会社との利益相反を気にせず相談をすることが可能です。
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