前回は、保険料を基準に保険選びをしてはいけない理由を説明しました。今回は、金融庁が新たに制定した「改正保険業法」の概要を見ていきます。

良い保険に入るためには「自分の要望」を何より大切に

そもそも、「良い保険」とは、どのように定義できるものなのでしょうか。保険料が安ければよいというものではなく、盛りだくさんの保障が付いていればよいというものでもないのは、これまでの連載からおわかりのはずです。

 

ここでのキーワードは「自分の要望」です。皆さんご自身が、自分の要望を正確に把握し、その要望を満たす保険に加入すること。これこそが、後悔しない、良い保険の加入の仕方です。

 

保険というものは、保障が増えれば増えるほど、月々に支払う保険料も高くなります。ですから、自分が保険に求めているものに保障の対象を絞り込めば、余計な保険料を払う必要はありません。

 

仮に3000万円の保障で十分なのに、5000万円の保険に加入していたら、その分保険料も上乗せされます。これは無駄な保険料を支払っていることになります。

 

ただ、無駄な保険料の支払い以上にダメなケースは、保障が不足している場合です。先に挙げた例で言えば、5000万円の保障が必要なのに、3000万円の保障しかなかった場合です。

 

このケースで、保険に加入する前に自分の家族の将来に必要な保障が把握できていれば、そして保険の本来の意味が理解できていれば、後から「こんなはずではなかった」と思うような保険に加入することにはならなかったでしょう。

改正保険業法により、情報の提供に関する項目が厳格化

しかし、このように保障が足りない、もしくは保障の対象外で保険金が支払われない、そんなケースは残念ながら決して少なくありません。

 

金融庁がこのような事態を鑑みてか、2016年の5月末に、改正保険業法が施行されます。その中の一つに、「お客様のニーズをきちんと汲み取っているか、加入までの流れ、打ち合わせ当初・申し込み前・最終意向を証拠として残しなさい」という項目があります。

 

近頃、何かの契約を結ぼうとすると、「契約に関して○○の説明を受けました」というような書類にサインを求められることがあります。皆さんも、携帯電話の契約時などで一度や二度は経験したことがあるでしょう。

 

具体的には、保険の加入時にお客様の要望を満たしているか、最終的にお客様の意向が反映されているか等、情報の提供は充分だったか、お客様からサインをいただくことが従来からもありましたが、さらに強化され義務化されることになりました。

 

この話は次回に続きます。

本連載は、2015年6月26日刊行の書籍『死亡保険金は「命の値段」』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

死亡保険金は「命の値段」

死亡保険金は「命の値段」

杉山 将樹

幻冬舎メディアコンサルティング

命とお金に関わる保険は、生きている限りほとんどの人にとって必要不可欠な金融商品ですが、近年、その種類や保障内容が多様化・複雑化しています。 加入者は要望に合わせて自由に保険を選べるようになったものの、その選び方…

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