(画像はイメージです/PIXTA)

ウクライナ侵攻とアメリカを巡って、「バイデン大統領が“弱い”から起きたのでは?」「アメリカはなぜ派兵しないんだ」「トランプ氏が大統領だったらこんなことには…」という意見が聞かれることは多い。バイデン大統領は“弱い”大統領なのだろうか。そしてトランプ大統領なら、侵攻を食い止められたと言えるのだろうか。バイデン大統領の考え方や、世論調査から読み取れるアメリカ国民の思いとともに、明治大学政治経済学部・海野素央教授が解説する。

大統領がトランプ氏なら、ウクライナ侵攻は起きたか?

「でも、トランプ氏が大統領だったらそもそもプーチン氏はウクライナに侵攻していなかったのでは?」という意見を持つ方もいるだろう。

 

確かにアメリカ軍のアフガニスタン撤退を見て、プーチン氏が「バイデン大統領には戦う意思がない」と解釈した可能性はある。実際、撤退は去年の8月であるが、その後の秋からロシア軍はウクライナの国境に兵力を集結している。

 

アフガニスタンからの撤退はオバマ政権の頃から目指されてきたことであり、公約でもあるのだが、バイデン氏は米軍撤退により誤ったシグナルを送ってしまったのだと解釈することもできる。

 

とはいえ、やはりトランプ氏が大統領であったとしても、プーチン氏は侵攻に踏み切っただろうと言える。そしてその場合、ロシアやウクライナとの距離を空けただろう。トランプ氏の掲げる「アメリカ第一主義」は海外の出来事に関与しないことを意味する。

 

バイデン氏ほど侵攻を非難することはまずなかっただろう。むしろ、トランプ氏はウクライナに侵攻し東部を奪ったプーチン氏のことを「天才」と評した。プーチン氏は「トランプ大統領は自分のことを非難しないだろう」と考え、侵攻しやすくなったのではないだろうか。

 

プーチン氏について、トランプ氏は非常に興味を抱いている。習近平や金正恩に対しても同様で、その理由は自身も独裁者になりたいと考えるためだ。

 

つまり、プーチン氏は大統領がトランプ氏であっても「侵攻できた」だろう。「トランプ氏が大統領だったらそもそもプーチン氏は侵攻していない」とは、とてもではないが言えないことである。

 

 

明治大学政治経済学部 教授

海野 素央

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