アメリカで「バイデン大統領の支持率が低い」ワケ
ロイター通信とイプソスが5月16日・17日に実施した共同世論調査によると、バイデン大統領の支持率は42%、不支持率が50%であった。不支持率が支持率を上回る傾向は、米軍の完全撤退にともなった、アフガニスタンでの混乱発生以来続いている。
2月24日より始まったロシアのウクライナ侵攻について、バイデン氏は演説のなかで「プーチンの戦争」「プーチンの値上げ」(ガソリン代・食費の値上がりを受けて)と頻繁に表現してきた。
バイデン氏が重視する「プーチンの戦争」「プーチンの値上げ」であるが、アメリカ国民の意識はこの戦争に強く向いているわけではないようだ。先述の世論調査によると、「今日アメリカが直面している最も重要な問題」についての回答は、1位が「経済」で28%であるのに対し、「戦争」はわずか4%にとどまる。
党派別にみると、「経済」を最も重要と考える回答者は民主党で22%、共和党で35%、無党派で27%。「戦争」と答えた支持者は、民主党で3%、共和党で4%、無党派で3%であった。
今のアメリカ国民には、共通して「インフレをどうにかしてもらいたい」という思いが強いと言える。
そしてアメリカ国民が抱えるインフレへの問題意識の高さは、ロイターの世論調査以外からもうかがうことができる。
というのは、現在のアメリカ経済は“なにもかもがうまくいっていない”わけではない。
アメリカの失業率は、大統領がトランプ氏からバイデン氏に交代した2021年1月には6.4%で、トランプ氏の在任中はコロナの影響もあって10%を超えるときもあった。それが2022年3月・4月にはともに3.6%を記録しており、わずか1年2ヵ月でここまで下がるのは記録的と言える。
2022年4月の新規雇用者数は42万8,000人であり、これも記録的な数字だ。大統領に就任してからの期間(2021年1月~2022年4月)では830万人の雇用者数を生んでおり、雇用の面では、バイデン大統領の成績は明らかに“A”であるのだ。