まるで「通行手形」…〈PCR陰性証明〉に支配された中国の日常

本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。

寝ても覚めても「PCR」

「PCR検査の結果を見せてください」

 

中国の生活シーンでよく聞かれるようになった言葉だ。スマホを取り出し、アプリで陰性結果を提示する。上海では6月から地下鉄やバスの乗車時に72時間以内のPCR検査陰性証明が必要になる。商業施設やオフィスビルの訪問も同様。

 

新型コロナの感染状況によっては、どの都市でも行われる可能性がある中国ならではの措置だ。どこへ行くにも陰性証明。まさに21世紀の通行手形である。

 

何も今始まったことではない。この2年半の間、陰性証明に振り回される場面が何回もあった。南京への日帰り出張を予定していた2020年11月。

 

そろそろ上海駅に向かおうとしていた当日朝方、訪問先の国有企業から「PCR陰性証明が必要になりました」との連絡を受けた。理由は「上海で数人のコロナ感染者が出たから」。なかなか厳しい対応だ。当時は検査施設も少なく、時間的に間に合わない。やむなくリモート面談に切り替えた。

 

21年12月に湖南省長沙を訪れたときのこと。長沙空港に着陸した飛行機のドアの前には防護服姿のスタッフが待ち構えていた。搭乗客全員の陰性証明をもれなくチェック。ホテルのフロントでも提示を求められた。ちょうどそのときも上海で感染者が報告されていた。上海から来たというだけで警戒感はMAXだ。

 

外国人というだけでなぜか特別扱いされることもある。浙江省温州の鉄道駅では「上海から来た外国人」という理由で私だけPCR検査を受ける羽目になった。

 

陝西省や甘粛省、内モンゴル自治区など内陸部のホテルでは「外国人の宿泊時は陰性証明が必要」と言われ、事前検査を余儀なくされた。

 

20年に訪れた山西省の街では、駅の改札を出たところで地元公安や野次馬など約20人に突然囲まれた。その場でPCR陰性証明の提示を求められ、訪問先や訪問時間までみっちり尋問を受けた。後にコロナ陽性が判明した場合、行動履歴を追跡しなければならないからだろう。

 

中国人はお咎めなしで素通りだったが、外国人の私はなかなか街に入れない。この“関所越え”はややキツかった。

 

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    東洋証券株式会社
     上海駐在員事務所 所長

    上智大学外国語学部イスパニア語学科卒。通信社、コンサルティングファームを経て、2007年東洋証券入社。本社シニアストラテジストを務め、2015年より現職。中国現地で株式動向のウォッチや上場企業取材などを行い、中国株情報の発信・レポート執筆を手がける。

    著者紹介

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