ウクライナ危機の勝者となるアメリカ…いつの間にか「石油輸出国」になっていた強かさ

ロシアによる経済制裁の影響で世界的な資源高に見舞われているなか、世界有数の「石油輸入国」だったアメリカは「石油輸出国」として存在感を発揮しています。なぜこのような劇的な変化を遂げることができたのか、みていきましょう。

ロシアへの経済制裁を引き金に、エネルギー価格高騰

ウクライナ危機の勃発によりエネルギー価格が急騰し、その後も高い水準を保ち続けています。ロシアへの経済制裁により、EU圏への天然ガスの供給がストップの方向へ。天然ガス価格が上昇したのはもちろんのこと、不足分のエネルギーを補うために石油回帰が起こったことで、原油価格も連れて上昇しました。

 

これにより、ドイツや日本などのエネルギー輸入国は窮地に立たされています。なぜなら、発電に加え、工場の操業や輸送もエネルギーなしには成り立たないからです。エネルギーは国民の生活にとっても、国の経済にとっても、ライフラインに他なりません。そして、輸入国はその命綱を他国に握られているのです。

 

出所:オープンハウス作成
[図表1]ロシア依存度と資源供給・調達における各国のポジション 出所:オープンハウス作成

 

そうは言っても、EU諸国にしろ、日本にしろ、先進国の大半がエネルギー輸入国。みんなが苦しんでいるなら差は付かないのではと考えてしまうところですが、2020年、絶妙なタイミングで輸入国から輸出国への転身を果たした国があります。そう、タイトルにもある通り、アメリカです。現在の社会情勢を読み切れていたのかどうかは定かではありませんが、とかく派手好きな政策を打ち上げる彼らが、意外にも地道に、かつ辛抱強く準備を進めてきたことは驚きに値することです。

米国…オイルショックの苦い記憶

アメリカが石油輸出国だと聞いて驚いた方もいるかもしれません。実際、2019年まで彼らは純輸入国(輸入量が輸出量を上回る国)でした。それどころか、2005年には輸入量がピークに達し、1日あたり1,260万バレル(約20億リットル)もの石油を輸入する、世界最大の輸入国でした。

 

そんなアメリカですが、輸入依存状態を良しとしていたわけではありません。なぜなら彼らは、オイルショックによって他のどの国よりも大きな痛手を負ったからです。1973年、第四次中東戦争を機に石油の国際価格が上昇。1979年にはイラン革命が起こり、石油価格はますます上昇し、オイルショック前の約4倍に。この高騰が製造業や流通網を破壊し、あらゆる物の価格を押し上げると、政府は急激なインフレに抗おうと利上げを敢行。しかしこれがかえって金融市場の混乱を招き、経済全体に深い影を落としました。

 

この一連の大不況は、言ってしまえば石油の供給を輸入に依存していたからこそ生じたものです。もし当時から、アメリカが石油の純輸出国であれば、輸出していた分を国内需要に回すことができたはずです。国際価格が変動しているのですから価格の乱高下による影響を受けないということはありませんが、少なくともOPECと呼ばれる中東諸国の出方に振り回されることはなかったでしょう。

 

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    株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部 チーフストラテジスト

    株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部にて、米国不動産をお持ちのお客様やご購入検討中のお客様に、金融と不動産を併せた投資アドバイスや融資利用の事前相談、マーケット情報をご提供させていただくチーフストラテジスト。 20年の銀行勤務経験を活かして、自身でも独立したオフィス(リーガルコンサルティング行政書士事務所(川崎市))を持ち、海外ファンド投資やオフショア保険・銀行口座のメンテナンス交渉代行から相続手続きまで幅広くこなす。京都系辛口アドバイザー。

    著者紹介

    連載米国・不動産アナリストが語る、アメリカと日本、そして経済

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