ドル円がおよそ24年ぶりの水準まで円安となるなか、株式会社オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部のチーフストラテジストである浅井聡氏は、「為替を読むために“第二の基軸通貨”ユーロを知る必要がある」と語ります。日本円の立ち位置について、「ドル・円・ユーロ」の3方向から、詳しくみていきましょう。

ドル円が騒がれているが…為替相場の主役は「ユーロ」

2022年に入り、ドル円相場はドル高円安が急速に進行しています。米中央銀行(Fed)はインフレ抑制のための金融引き締め(利上げ)方針を打ち出していましたが、8月に開催されたジャクソンホール会議では、パウエル議長がこれをより明確なメッセージで発したことをきっかけに、ドル円相場は大台の140円乗せとなりました。

 

いよいよ1998年の山一拓銀時代のドル高円安水準147円に迫る勢いです。この円安進行の背景は、「日米金利差拡大」と「各中央銀行のスタンスが真逆で明確であること」が主な要因となっていることは間違いありません。

 

出所: Financial Times
[図表1]ドル円相場推移(1992年~) 出所: Financial Times

 

しかし、日本では140円台乗せの見出しがおどるなか、グローバルレベルでは、ユーロドル相場がパリティ(パリティとはちょうど1ユーロ=1ドルとなること)を割るニュースのほうが、はるかに重要視されています。これはどういうことでしょうか?

 

外国為替市場の主戦場ともいうべきマーケットは、基軸通貨「アメリカドル」と第二の基軸通貨といわれる「ユーロ」との比較、あくまでもユーロドル相場です。今後の為替を読むためには、ドル円相場よりもユーロドル相場をしっかりと観察しておく必要があるでしょう。

為替を読むために…「第二の基軸通貨」ユーロを知る

通貨としてのユーロの歴史は案外浅く、ドイツやフランス、イタリアなどのEU各国の取り決めにより、単一通貨ユーロが発足したのは1999年1月のことです。

 

発足当時は、チャートが存在しないので、ずいぶんテクニカルアナリストを悩ませたものですが、あれから四半世紀近く経過したことで今ではすっかり定着し、残念ながらイギリスポンド加盟の道は閉ざされているものの、現在では第二の基軸通貨としての地位を着々と築いてきています。

 

もっとも、ユーロの道のりは険しく、発足当時はユーロという通貨が末永く存続できるのかという信任を試すように発足当時には1ユーロ=1.17ドルだったものが、2000年1月には初のパリティ割れを見せ、回復するのに約2年の日々を費やしたのです。

 

その後、順次加盟国が増え、しっかりとした足取りで進んだことで、その信任を得ることができ、2009年からのギリシャ財政問題などを抱えつつも、2003年以降は一度もパリティ割れを起こしたことはありませんでした。

 

しかし、ここにきてユーロ安ドル高傾向が続き、ウクライナ情勢やロシア制裁の影響を大きく受けていることを加味しても、再びパリティ割れが定着してしまったのですから、非常に大きなニュースとして取り上げられるのは想像に易いことでしょう。

 

では、どうしてユーロ安が進行しているのでしょうか? 円安との関連性はあるのでしょうか?

 

出所: Financial Times
[図表2]ユーロドル相場推移(正式発足以来) 出所: Financial Times

 

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