米国…対日本、対欧州の貿易収支「改善」の可能性
こうしたエネルギー資源や穀物の輸出増加を受けても、米国の貿易収支は、合計値、対日本、対ユーロ圏、対中国ともに赤字が続いていますが、今後、米中対立が深まるなかで(ハイテク製品だけでなく、鉱物や穀物の)中国向けの輸出を減らして欧州や日本に振り向けたり、あるいは、単に増産をすると、欧州や日本との貿易赤字が減る可能性があります。
世界が2つに分割されることは、エネルギー生産と穀物生産の大国であり、なおかつ軍事大国でもある米国とその通貨ドルにとって、追い風であるように思えます。
また、今後の気候変動問題について考えると、米国は、安全保障の問題を絡めて、自国産の天然ガスや「原子炉やボイラー」(=2020年まで長く、米国の輸出品目で第1位であった)の輸出が拡大するような方向に議論を進めていく可能性もあるでしょう。
最後にひとこと付け加えるなら、ウクライナ危機は、世界のどの国よりも、日本に多くの教訓を与えているでしょう。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】