米国…対日本、対欧州の貿易収支「改善」の可能性
こうしたエネルギー資源や穀物の輸出増加を受けても、米国の貿易収支は、合計値、対日本、対ユーロ圏、対中国ともに赤字が続いていますが、今後、米中対立が深まるなかで(ハイテク製品だけでなく、鉱物や穀物の)中国向けの輸出を減らして欧州や日本に振り向けたり、あるいは、単に増産をすると、欧州や日本との貿易赤字が減る可能性があります。
世界が2つに分割されることは、エネルギー生産と穀物生産の大国であり、なおかつ軍事大国でもある米国とその通貨ドルにとって、追い風であるように思えます。
また、今後の気候変動問題について考えると、米国は、安全保障の問題を絡めて、自国産の天然ガスや「原子炉やボイラー」(=2020年まで長く、米国の輸出品目で第1位であった)の輸出が拡大するような方向に議論を進めていく可能性もあるでしょう。
最後にひとこと付け加えるなら、ウクライナ危機は、世界のどの国よりも、日本に多くの教訓を与えているでしょう。
重見 吉徳
フィデリティ投信株式会社
マクロストラテジスト
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