同じ専業主婦でも…サラリーマンと自営業、「夫婦の年金額」の開きに愕然【税理士が解説】

同じ専業主婦でも…サラリーマンと自営業、「夫婦の年金額」の開きに愕然【税理士が解説】
※写真はイメージです/PIXTA

私たちの最大の関心事である老後資金の問題。最大の財源は「公的年金」です。これには、国民年金保険と厚生年金保険があります。今回は、これらの年金の受給要件、保険料と年金額について、生徒&先生の質疑応答形式で、専門家が平易に説明します。

自営業者は老齢基礎年金、満額でも月額6万5千円程度

生徒:基礎年金の保険料はいくら支払い続けるんですか?

 

先生:2022年で言うと、自営業者は毎月の保険料は1万6,590円。会社員はその半分を会社が負担してくれるね。

 

生徒:基礎年金は、いつからもらえるんですか?

 

先生:基礎年金をもらえるのは、65歳からなんだ。ただし、もらうためには、最低でも10年すなわち120ヵ月以上の間、国民年金に加入していないといけないよ。

 

生徒:基礎年金は、いくらもらえるんですか?

 

先生:20歳から60歳の40年すなわち480月すべて保険料を支払う続けていれば、基礎年金の満額をもらうことができて、2022年度の金額は77万7,792円となっているね。月額では6万5000円くらいかな。40年間のうちに保険料を支払っていない期間があれば、その分だけ減額されるけれどね。

 

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会社員は老齢厚生年金、妻が専業主婦なら2人で22万円

生徒:定年まで会社員として働いた場合は、厚生年金ももらえるんですよね? いつからもらえるんですか?

 

先生:これも同じく65歳だね。ただし、会社員を辞めて自営業をやったとしても、会社員として厚生年金に加入している期間が最低1ヵ月以上必要なんだ。もちろん国民年金に最低10年間は加入していなければいけないのは、先ほど話した通りだね。

 

生徒:厚生年金の保険料は、いくら支払うんですか?

 

先生:厚生年金の保険料は、標準報酬月額に保険料率をかけて計算されるんだ。つまり、たくさん給与をもらっている人のほうが、保険料が多く取られることになるね。ちなみに、標準報酬月額といういうのは、毎年、4月、5月、6月の3ヵ月の給与の金額の平均値だね。2022年の保険料率は「18.3%」だけど、半分会社が負担してくれるから、私たちが支払うのは9.15%ということだね。たとえば、毎月65万円稼いでいる人だと、「650,000円×9.15%=48,495円」の保険料という計算になるわけだ。

 

生徒:これに加えて、国民年金保険料1万6,590円が取られるんですか?

 

先生:いや、会社員は厚生年金の保険料だけ支払っておけばいい。国民年金の保険料は、それに含まれているから。

 

生徒:それで、将来の厚生年金はいくらもらえるんでしょうか?

 

先生:この計算はとても難しいんだよ。基本的に、給与の金額と加入月数に比例すると考えたらいいかな。たとえば、平均的な月収43万9,000円をして、60歳まで40年間働いたケースを考えてみようか。奥様がずっと専業主婦だったとすれば、夫婦2人分の年金は、夫1人の厚生年金と夫婦2人分の基礎年金になるね。これらを合算すれば、2022年度だと月に22万円くらいもらえるんだ。ただし、この年金額は、毎年減少しているから、君たちが65歳になる頃には、もっと少なくなっているだろうね。

 

令和4年4月分(6月15日(水曜)支払分)からの年金額 ※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。 出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
[図表2] 令和4年4月分(6月15日(水曜)支払分)からの年金額
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」

 

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老齢厚生年金とは?会社員の老後をサポートする仕組み!

 

生徒:えっ、夫婦2人で月に22万円だけ…。それでは、ぜいたくな生活はできませんね。年金をもっと増やす方法はありませんか?

 

先生:それには、65歳から年金をもらうのではなく、もっと遅い時期から年金をもらい始めるという方法があるよ。「繰下げ受給」という制度なんだ。

 

生徒:どれくらい増えるのですか?

 

先生:希望すれば、75歳まで遅らせることができて、繰り下げる月数を計算して、1ヵ月あたり0.7%が増やされるんだ。例えば、75歳まで繰り下げると、75歳になるまでの月数である120ヵ月×0.7%で、年金額は84%増額されることになるね。それが亡くなるまで続くんだ。

 

生徒:84%増額ということは、年金額は満額の1.8倍になるということですね。

 

 出所:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」
[図表3] 出所:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」

 

先生:ちなみに、夫婦共働きだと、奥さんのほうも厚生年金がもらえるから、年金額がもっと増えるよ。先ほどのケースだと、年金額は月に31万円くらいかな。

 

生徒:これからは夫婦共働きしなければ、やっていけないのでしょうか…。

 

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