「あれほど働いてきたのに?」年金受給額に呆然…夫婦の老後生活、危機的状況【税理士が解説】

「あれほど働いてきたのに?」年金受給額に呆然…夫婦の老後生活、危機的状況【税理士が解説】
※写真はイメージです/PIXTA

私たちの最大の関心事である老後資金。この最大の財源は「公的年金」ですが、これには「国民年金保険」と「厚生年金保険」があります。今回は、これらの年金の受給要件、保険料と年金額について、専門家が平易に解説します。

公的年金制度には「国民年金」と「厚生年金」がある

就職について頭を悩ませている学生が、職業を選択するにあたり、老後生活がどのような状況になるのか知りたいと、老後資金の問題に詳しい先生のところへ訪れました。説明を聞くと、厳しい状況が見えてきて…。

 

生徒:2019年に「老後2,000万円問題」が騒がれましたが、私たち世代の年金が、いまより減って足りなくなることが問題となっているようです。私たちの老後は、年金だけで生活できるのでしょうか?

 

先生:それは、若いときにどのような働き方をするかによって決まるね。今日は、公的年金制度について確認しておこうか。

 

生徒:ぜひお願いします!

 

先生:公的年金は、年老いたときやいざというときには、働いている世代みんなで支え合おうという考えで作られた制度なんだ。若いときに加入して保険料を納め続けることで、年をとったときや、病気やケガで障害が残ったとき、家族の働き手が亡くなったときに、年金を受け取ることができるんだね。

 

生徒:なるほど、年金をもらうことができれば、働けなくなったときでも生活できますね。

 

先生:そうだね。この公的年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3種類があるけれど、私たちにとっていちばん関心があるものは、老齢年金だよね。

 

生徒:そうですね。老齢年金は、老後に私たち全員がもらうお金ですからね。

 

先生:いずれの年金にも共通するけれど、「国民年金」と「厚生年金」の2つがあるんだ。国民年金は自営業者と会社員の奥さんで専業主婦だった人、厚生年金は会社員の年金だと覚えておいたらいいよ。正確に言うと、会社員は国民年金と厚生年金の両方をもらえるんだけどね。制度上は、第1号被保険者、第2号被保険者、そして、第3号被保険者の3つに分けられているんだ。

 

[図表1]老齢年金制度における被保険者の種類

 

生徒:私は卒業したら会社に就職する予定なので、厚生年金を受け取ることになるということですね。

 

先生:そうだね。ただし、会社を退職して自営業者になるかもしれないよね。国民年金のことを「基礎年金」といって、20歳以上60歳未満の全員が対象となるんだ。「基礎年金番号」というものが付けられるんだね。会社員だけは、年齢制限が無いから、19歳で就職すれば加入することができるし、61歳になって正社員として会社に勤務を続けていれば、加入し続けることができるんだ。

自営業者の年金は老齢基礎年金だけ、満額支払っても…

生徒:基礎年金の保険料はいくら支払い続けるんですか?

 

先生:2022年で言うと、自営業者は毎月の保険料は1万6,590円。会社員はその半分を会社が負担してくれるね。

 

生徒:基礎年金は、いつからもらえるんですか?

 

先生:基礎年金をもらえるのは、65歳からなんだ。ただし、もらうためには最低でも10年、すなわち120ヵ月以上の間、国民年金に加入していないといけないよ。

 

生徒:基礎年金は、いくらもらえるんですか?

 

先生:20歳から60歳の40年、すなわち480月すべて保険料を支払い続けていれば、基礎年金の満額をもらうことができて、2022年度の金額は77万7,792円となっているね。月額では6万5000円くらいかな。40年間のうちに保険料を支払っていない期間があれば、その分だけ減額されるけれどね。

 

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