患者数の平準化
■混んでいる曜日・時間帯をホームページで告知する等
患者数の平準化も①②に関する対策です。職員の業務負担軽減においても大変重要になります。四六時中混雑しているクリニックでも、時間帯によってムラがあるはずです。効果は限定的ではありますが、混雑状況の情報を提供することで、患者数の平準化を促すことができます。具体的には掲示板やホームページで空いている曜日や時間帯を告知したり、空いている時間帯の予約枠を多く設定したりします。
順番表示システム
■「今、自分は何番目なのか」がわかると体感待ち時間が軽減される
順番表示システムは②に関する対策です。「今、自分は何番目なのか」「診察は何時頃になるのか」をリアルタイムで把握できるように工夫することは、患者さんの体感待ち時間の軽減に有効です。システムがきちんと機能すると、患者さんから順番を聞かれたり、一時外出を管理したりする必要がなくなり、職員の負担も軽減できます。予約システムと連動する順番表示システムの導入を検討するとよいでしょう。
心理的要因の軽減
■アメニティーを用意する、待合室に時計を置かない等
心理的要因の軽減は③に関する対策です。心理的要因にはやることがない、退屈、一人で待つなどがあり、体感時間を長くするとされています。待っている時間を感じさせない工夫が必要で、アメニティーやくつろげる空間で体感待ち時間の軽減を図ることになります。
環境の変化は体感待ち時間を軽減させることから、待合室を3つに区切って診察が近づくたびに部屋を移動するようなことができれば、工夫の1つになるかしれません。少し姑息的という感は否めませんが、待合室に時計を置かないほうがよいという意見もあります。
来院後の外出許可方式
■クリニック周辺の商業施設が充実しているなら特に有効
最後は④に関する対策です。いったん来院した患者さんに呼び出しベルなどの貸し出しを行い、待ち時間を別な用事に使っていただくという工夫です。周辺に商業施設が充実している場合は特に有効な方法です。スマホで呼び出すという方式もあります。患者さんが指示通り再来院してくれるかどうかと、スマホで呼び出す際に通信コストがかかることが問題となります。
「待ち時間の短さ」はクリニックの評価指標の一つ
常に10人ほどの行列ができるラーメン屋さんは、10人分のフロアの拡大が可能なら実行するでしょうか。答えはおそらく“否”です。行列は、店側には宣伝効果があり、客側には期待の滋養があります。行列がなくなったら、このラーメン屋さんの魅力は半減するかもしれません。
私たち医療機関は病める人が対象なので、ラーメン屋さんの考え方を踏襲するわけにはいきません。しかし、待ち時間に評価のバロメーターという一面があることは間違いなく、経営者として常に気にかける必要があるのです。
老木 浩之
医療法人hi-mex 理事長
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