「がんやアルツハイマー病になりやすい人」の決定的特徴【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「炎症」とは、体が有害な刺激を受けたり、体の中に異物が侵入してきたりしたときに起こる防御反応です。ところが同じ炎症でも“良い炎症”と“悪い炎症”があり、低レベルの炎症が何年にもわたり続く「慢性炎症」は、気づかないうちに老化やさまざまな病気を誘発する大変怖い現象とされています。慢性炎症を伴う病気には何があるのか、慢性炎症を加速させないためにはどうすれば良いのかを見ていきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

ほとんどの生活習慣病は「慢性炎症の積み重ね」

慢性炎症が起きている疾患はたくさんあります。たとえば歯周病、動脈硬化、糖尿病、ウイルス性慢性肝炎、アトピー性皮膚炎やリウマチによる関節炎、気管支喘息にまで及びます。慢性炎症は感染によるものだけではなく、自己免疫や外傷によるものや肥満やメタボ、加齢が影響するものなどがあります。

 

ほとんどの生活習慣病は、慢性炎症の積み重ねといえます。一つの病気を火種として次々と連鎖反応を起こし病気を発生していくことは、慢性炎症の要因の複雑さを表しているように思えます。加齢とともに増加するがん、アルツハイマー型認知症、現代人に増えているアレルギーも慢性炎症がトリガーとなって起きている疾患です。

がんと慢性炎症

がん細胞とは、何らかの原因で正常な細胞になるはずの遺伝子が傷つき発生することと知られていますが、慢性炎症を起こしている組織でも遺伝子異常が引き起こされると考えられています。

 

具体的には、炎症を起こした組織では炎症性サイトカインと呼ばれる物質の一つ「TNF-α」が放出されます。するとTNF-αによって活性化される増殖因子(細胞を増殖させる物質)が出てきて細胞分裂が促進されます。この細胞分裂→再生が繰り返されると、それだけ突然変異が生じやすくなり、一部ががん細胞へと変化してしまうとされているのです。

 

また慢性炎症でくすぶっている組織では、活性酸素が多く発生しています。活性酸素は、毒性の高い酸素のことで、異物を攻撃するなど大事な働きをする一方で、増え過ぎると健康な細胞まで傷つけてしまいます。そうして細胞内のDNAが傷つくと細胞死が発生します。この過程でも、がん細胞が出現しやすくなると考えられています。

 

老化の主な原因といえば、酸化ストレスともう一つ、糖とタンパク質が結びつく過程の最終段階で生成する物質が強い毒性をもっていることで炎症反応を誘引する「糖化ストレス」が知られています。糖化ストレスも、炎症性サイトカインを活性化させてしまいます。

 

慢性炎症と関係するがんの組み合わせにはさまざまなものがあります。潰瘍性大腸炎と大腸がん、膀胱炎と膀胱がん、逆流性食道炎と食道がん、HPV(ヒトパピローマウイルス)感染と子宮頸がん、胃炎と胃がんなどです。

みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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