退職金制度は減少傾向。非正規雇用者は増加。
では、その年金で賄えなかった支出を補填するための、各自の貯蓄、退職金に目を向けてみましょう。
まず、退職給付額(退職金)はここ数十年で減少傾向にあります。平成4年(1992年)には日本企業の約92%が退職給付制度を採用していましたが、平成29年(2017年)には約80.5%に推移しており、これは、ここ25年間で13.0%減少している計算になります。
さらに、非正規雇用の契約では退職給付制度が利用されない場合がほとんどです。総務省が公式発表している、非正規雇用者数の推移に関して記されている次の図表2をご覧ください。
ご覧のとおり、非正規雇用者の数の推移には、ゆるやかな上昇傾向が見られます。平成23年(2011年)には1,812万人でしたが、令和3年(2021年)は、2,064万人です。この10年間で、14.0%増加している計算になります。
現役世代と呼ばれる15~64歳の、令和元年(2019年)の人口は、7,507万人です。図表2で記されている、同年の非正規雇用者数2,165万人と照らし合わせると、28.84%。すなわち、現役世代の約3割の人が退職給付制度を利用していないということが分かります。
【最新版】「地域別貯蓄ランキング」
それでは、日本の一般的な貯蓄額はどれくらいなのでしょうか。次の図表3は、令和4年(2021年)10~12月における、【最新版】「地域別貯蓄ランキング」です
年間収入が最も高いのは、物価の高い東京都を擁する「関東エリア」の678万円ですが、貯蓄額が最も高いのは「東海エリア」の2,231万円です。一方で、年間収入が最も低い「沖縄県」は、貯蓄額もまた、677万円と最も低い数値です。
年間収入と貯蓄額の差が最も大きいのは「東海エリア」で1,588万円なので、東海人は最も貯蓄に対する意識が高いと言えそうです。この差額が1,000万円を超えているのは、前述の「東海エリア」に加えて、「関東エリア」の1,334万円と、「近畿エリア」の1,184万円の3エリアでした。
年間収入が600万円以上でありながら、年間収入と貯蓄額の差額が1,000万円以下なのが「北陸エリア」の891万円のみなので、貯蓄ランキングでは6位と下位ではありませんでしたが、最も貯蓄に対する意識が低いと言えるかもしれません。