(※写真はイメージです/PIXTA)

現在の日本の法律では、婚姻した2人は同姓になることを義務づけられています。別姓を希望する場合「事実婚」を選択することになりますが、こと「相続」においては大きな障壁ともなり得ます。内閣府が公式発表している「家族の法制に関する世論調査」と併せて、「選択的夫婦別姓」について一緒に考えましょう。

世界で唯一、婚姻後の別姓が認められていない国、日本

婚姻後に同姓を名乗ることが義務付けられているのは、世界広しといえどもただ一つ、日本だけです。

 

かつて義務づけてられていた国々も、1990年代以降、続々と別姓の選択が可能となり、2005年には同じアジア圏であるタイも法改正に踏み切っています。同年、もともと別姓を名乗っていた韓国では、子どもが自ら両親どちらの姓を名乗るかを決められるという、さらに一歩進んだ法改正がなされています。

 

一方で、東南アジア圏のトルコは国民の大半がイスラム教徒です。女性は頭にヴェールをかけるなど、古くからの宗教的慣習が、現在にも色濃く残っているように見受けられます。ですが、2001年の法改正により婚姻後の別姓、複合姓が認められています。

 

日本でも、諸外国同様に「婚姻後の姓を選択可能にするべき」との議論が度々巻き起こりますが、いまだ法改正まで至っておりません。そのため別姓を希望する場合には、「事実婚」を選択することとなります。

 

「事実婚」は婚姻者が双方ともに元気でいる際には、特段の不便を感じないという声も聞かれます。ですがどちらかの死後、思いがけない障壁が浮上する場合があります。具体的にどのような問題が起こり得るか、確認しましょう。

パートナーの死後、持ち家に住めなくなる危険性も

「相続」の場面において、「事実婚」が思わぬ障壁となる場合があります。次のような例を見てみましょう。

 

仕事上の都合から「事実婚」を選択した2人がいます。パートナーが40代の若さで急逝し、パートナーの親は健在です。若くして急逝したため、遺言書を残しておらず、こどもをもたなかった場合に、「遺産相続」はどうなるでしょうか。

 

例えば、2人が家庭生活を送る住居として、共有名義でマンションを購入していたとします。頭金として同額の貯金を出し合い、各自でローンを組み、持分も半分づつです。ですが、戸籍上は赤の他人であるためパートナーの持ち分は相続することができません。この場合は、パートナーの親が相続することになります。

 

これまで住んでいた住居を、完全に所有することを希望する場合には、パートナーの親から「遺贈・贈与・売買」のいずれかの方法で譲り受ける必要があります。親と目的が共有されており友好的な間柄であれば「公正証書遺言」を作成してもらい、遺贈を受けるのが、最も負担が少ない方法といえます。

 

ですが、もしパートナーにきょうだいがいる場合、この遺贈に関して「遺留分」を請求される可能性が生じます。「遺留分」とは戸籍上、相続の権利をもつ法定相続人に、最低限保障される遺産取得分のことです。「遺留分」は遺言の内容よりも強い権利であるため、主張すれば必ず一定の財産を取得することができるのです。

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