国民の10人に3人が高齢者の日本
2017年(平成29年)時点の統計によると、日本は10人に3人が高齢者の国です。内閣府の推計によると、43年後の2065年(令和47年)には人口の約2.6人に1人が65歳以上となる見通しであり、日本は世界有数の高齢化社会であるといえます。
それを受けて全国銀行協会は、国民の「金融リテラシーの向上」は喫緊の課題であると声をあげています。さらに新型コロナウィルス拡大後に、より深刻化した「子どもや若者の貧困問題」は、社会保障、人権の問題にとどまらず、放置すれば大きな社会的損失を招くでしょう。
平均寿命が伸び、高齢化が加速化する現在、社会保障がまったく追いつけていない印象が否めません。社会保障に頼れない以上、個人資産を形成することが大切ですが、そもそも日本人は世界的に見て「貯金好き」と称されてきたはずです。
では、日本人はいつから「貯金好き」になったのでしょうか。
日本人の「貯蓄好き」のルーツ。「子ども銀行」
昭和23年(1948年)に子どもたちの通う学校で、月に一度金融機関の職員が来訪して開かれる、「子ども銀行」が誕生しました。この「子ども銀行」とは、戦後、通貨安定とインフレ抑制を目的に、国が推し進めた貯蓄奨励策の一環として、全国の小中学校で実施されたものです。
「子ども銀行」は支店長や行員を子どもたちが務め、窓口や帳簿付けなどの預貯金業務を子どもたちが行い、そこに子どもたちが預貯金をするという、ユニークなカリキュラムです。
これは、単なるシミュレーションの「銀行ごっこ」ではありません。預けられた預貯金は代表者名義の1つの通帳に集約され、実際に金融機関に預け入れをし、付された利息は、各人の預貯金残高に応じて配分されるというものでした。
当時の「子ども銀行」の雰囲気を感じ取ることができる記録を紐解くと、次のことが明らかになりました。
「子ども銀行」の特徴
■行員は、選挙によって選出された支店長1名、支店長代理1名、勘定係3名、原簿係3名、窓口係3名、雑係2名で構成されている。
■学校の階段下を利用した1間×3間の小さなスペース開かれ、壁に「こども銀行」と書かれた大きな杉板の看板を掲出し、勘定台には三角の係名標柱を並べられている。
■預金通帳交付一覧表、営業日誌、原簿などをつけている
■本棚を代用した金庫が備え付けられている。
■子どもたちが預けるお金はお小遣いだけでなく、荷物運びや生き物の世話など、お手伝いの勤労対価も含まれている。
■週2回、朝礼前と昼食後の2回ずつ営業が行われている。
(注:これらは現・財務省である大蔵省と日本銀行から優秀な銀行として表彰された、とある小学校についての記録から分かったもので、「子ども銀行」が実施されていたすべての小中学校に、如実に当てはまるものではありません)