(※写真はイメージです/PIXTA)

初心者が株式投資をするなら、米国株や日本株がメインの投資信託による長期投資。わかってはいるが、それだけではつまらない…。勉強熱心な方ほど、そんな思いを抱いているかもしれませんね。個別株投資はエキサイティングで、利益が出たときの喜びもひとしおです。しかし、自己流はキケンです。経済評論家の塚崎公義氏が、初心者が失敗しやすいポイントと、銘柄選定にあたっての留意点を解説します。

投資初心者は「投資の目的」を明確にしよう

筆者は、投資初心者には銘柄分散と時間分散が容易な投信の積立投資を勧めていますが、初心者でも個別株に投資したい人はいるでしょうし、投資に慣れてきたので個別株に進出したいという人もいるでしょう。

 

筆者自身も個別株に投資しているので、本稿でも個別株への投資に否定的なことを記すつもりはありませんが、留意すべきことは記しておきたいですね。

 

まずは「なんのために個別株に投資するのか」ということです。最も重要なのは、大儲けを狙うのか、悲惨な老後を避けるために堅実な投資を心がけるのか、ということです。

 

大儲けを狙うのであれば、大きく値上がりしそうな成長株から少数を選び、集中的に投資するべきでしょうが、くれぐれも老後資金を注ぎ込むのではなく、小遣いの範囲で楽しみましょう。カジノで賭けるときのようなワクワクを感じたい、という場合も同様ですね。

 

悲惨な老後を避けるということなら、投資目的のひとつは「預金はインフレに弱いリスク資産なので、インフレに強い資産である株をもつ」ことであり、株式投資への姿勢も「できるだけ大損する可能性が少ないように心がける」というものになるでしょう。これについては後述します。

様子がわかるだけに投資しやすい「自社株」だが…

さて、自社株ですが、「自社株を購入して勤務先に忠誠心を見せたい!」というのであれば、それは立派な心がけですが、しかしながら本稿は、そうした方々は読者対象外と考えています。

 

また、忠誠心とは無関係に「金儲けのために自社株を買う」というのであれば、筆者はお勧めしていません。従業員持株会があって、よほど多額の補助金でも出ているなら別ですが。

 

よく知っている先であり、親しみの気持ちもあることから、自社株に投資したくなるのはわかりますが、下手をするとインサイダーとなってしまうリスクもありますし、そうでなくても勤務先が傾いたときの影響が大きすぎます。

 

もし勤務先が経営不振に陥ったら、給料やボーナスがカットされるだけでなく、持ち株も値下がりすることで、ダブルパンチとなってしまいます。万が一にも勤務先が倒産した場合には、仕事も失い退職金も出ず、持ち株は紙屑になってしまうわけです。それではあまりに悲惨でしょう。

リスク分散の観点から「異業種の株」のほうが好ましい

筆者の友人に、勤務先の経営が不振となるのはライバルとの競争に負けたときだろうから、ライバルの株を買っておけば安心だ、といっていた人がいました。ライバル会社も、自社ほどではないにしろ状況がわかっていて買いやすいうえ、リスク回避にもなるから、というわけです。

 

リスク管理までしっかり考えて投資をしていると感心して見ていたのですが、結果はやはり悲惨でした。業界全体が構造不況業種になってしまったからです。それを考えると、自社株のみならず、自社の業界は避けるべきでしょう。

 

さらにいえば、輸出企業に勤務しているなら、輸出企業の株は避けるべきでしょう。円高になると輸出企業全部が減益になる、といったことが起こり得るからです。輸出企業以外の株、できれば輸入企業の株を買うのがリスク回避に役立つはずです。自分がくわしくない業界のことを調べて株を買うのは面倒かもしれませんが、リスクを避けるためには努力が必要なのです。

 

勤務先の話とは別に、円高で値上がりしそうな株と円安で値上がりしそうな株を両方持っておく、といった工夫も重要ですね。円高になって輸出企業の株が下がったときには、輸入企業の株が値上がりしているので大損はしない、といったリスク回避策ですね。

 

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