本記事は、東洋証券株式会社の中国株コラムから転載したものです。

行ったり来たりの隔離生活

さて、この3つの区分けでは、入替戦の如く昇格や降格がある。たとえば一番厳しい封控区。封鎖の最初の7日間を感染ゼロで乗り切れば管控区にレベルアップする。しかし、その後の7日間で1人でも感染者が確認されると、封控区に逆戻り。その時点から再び14日間の“お勤め”がスタートする。まさに「振り出しに戻る」形。隔離の無限ループである。

 

また、私が属する防範区も、感染者が1人でもでれば封控区に2ランクダウン。隔離生活への出戻りである。よって、冒頭のような「本日の感染者情報」は要チェックだ。4月下旬時点でも1日当たり万単位で感染者が出ているため、リストで「当たる」可能性は低くない。私も毎日ドキドキだ。

 

実質的な隔離・封鎖状態なのにどうして感染者がでてくるのか不思議に思われるだろう。実際、私の知り合いのマンションでは、3週間にわたり感染ゼロだったのに、突然1人発見されて隔離に逆戻りということがあった。

 

感染源はネットスーパーなどの配送スタッフとされていたが、詳細は不明。現地の人も一様に「どこから感染したのだろう?」と首を傾げている。

 

いずれにせよ、この政策が続く限り、自由な外出や移動は当分期待薄だ。たとえ自分のマンションの封鎖が解除されたとしても、オフィスや工場が封鎖状態だったら仕事もできない。逆もまた然り。職場は問題がなくても、居住エリアが隔離対象だったらどこにも行けない。

 

「区を跨いだ移動は原則禁止」などの策も考えられる。2年前のコロナ感染拡大時も、上海では通行チケットの類がマンション毎に発行され、それによって移動や施設の出入りをチェックすることがあった。

 

行動規制と封じ込めはゼロコロナ政策の真骨頂。大規模なロックダウンが解除されたとしても、エリアを区切った「ブロックダウン」はまだ続きそうだ。

 

 

奥山 要一郎

東洋証券株式会社

上海駐在員事務所 所長

 

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