(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁が毎年公表する『相続税の申告事績の概要』と『相続税の調査等の状況』を紐解き、現在の日本の相続税を巡る実態をみていきます。

税務調査官に狙われる…「相続税の申告漏れ」の実態

『令和2年度分相続税の調査等の状況』によると、年間12万人超の課税対象となる相続案件に対し、実地調査件数は5,106件(前年度…10,635件)、簡易調査は13,634件(前年度…8,632件)でした。

 

実地調査の減少および簡易調査の増加はコロナ禍による一時的な要因が寄与しており、次年度以降も同様の件数となるかは未知数ですが、前年度を踏まえると実地、簡易をあわせて例年2万件弱の調査が実施されているようです。

 

こうした状況において、いったいどれほどの「申告漏れ」が指摘されているかというと、実地調査5,106件に対して、申告漏れや過少申告等の非違件数は4,475件と、全体のうち87.6%、申告漏れに対する課税価格は1,785億円、追徴税額の合計が482億円となっています。

 

つまり、実地調査が行われたなかで非違と判断された事案1件につき、申告漏れ課税価格が3,988万円、追徴税額が1,077万円それぞれ発生しているのです。

東京23区や都心に土地あり…「課税対象」の可能性大

「ウチの実家は古くて価値なんてないし、親の預金もそんなに多くないから、相続税なんて考えなくて大丈夫」と楽観視している人は少なくありません。しかし、建物が古くても、実家の場所が東京23区内や横浜、大阪などの都心部の場合、相続税の課税対象となる可能性が高まります。

 

というのも、相続における不動産の評価については、固定資産評価額ではなく路線価が原則とされることから、一等地であれば土地の評価額だけで相続税の基礎控除を超えてしまう場合があるためです。

 

こうした初歩的なミスにより相続税を過少申告してしまい、結果として追徴課税を受けることとなった例も実際に報告されています。

 

個人にとっても意外と身近な税務調査……いま一度自身が置かれている環境を冷静に見極め、場合によっては税理士などの専門家に相談することで、税務調査官が狙う「相続税の申告漏れ」を防ぎましょう。

 

 \1月20日(火)ライブ配信/
調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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