3種類に大別される中古物件
現在、ベルリン不動産市場で扱われている物件は、基本的に「新築」「中古」と分けることができますが、中古物件についてはさらに3種類のカテゴリーが存在します(表1参照)。
それでは、新築物件と3種類の中古物件についてそれぞれ見ていきましょう。
①新築物件(鉄筋コンクリート)
★現地テナントの要望に応える、大きな窓・高い天井・バリアフリー等が多い。
★EneV (省エネルギー基準) に従った工法で、高性能の断熱材を使用することが義務付けられている。
★MaBV (仲介業者および開発業者に関する法律と規制) に従った支払方法(表2参照)
②中古物件
【Altbau mit Modenisierung:モダニゼーション物件(石・レンガ造りの壁)】
★定期的に少しずつ改装されている(オーナー組合の積立金を使い、定期的に電気や屋根、配管などのリフォームが行われている物件)
★モダニゼーション=外観、内装、窓などのリフォーム
(左:before例、右:after例)
【Kernsanierung:完全リフォーム物件(石・レンガ造りの壁)】
★骨組、壁、地下を除くすべての部分をリフォーム
★電気、屋根、配管、床、窓、ドア、外観、浴室等は全て新調されている
1943年11月23日、爆弾を積んだ米戦闘機が、ベルリン市内の高級巨大デパートKaDeWeに激突しました。1907年築の建物は骨組を残して全焼。しかしそれでも、KaDeWeは、その幕を閉じることはありませんでした。その後の完全リフォームを経て、KaDeWeは建設当時から現在まで、設当時の荘厳さをそのままに、ヨーロッパ大陸最大の高級デパートとして人々を惹きつけています。
この建物こそ、ベルリンが誇る『完全リフォーム物件』の好例と言えるでしょう。
【Dachausbau:新築ペントハウス】
★中古物件の上に、新築のペントハウスを造った建物(保証付)
★減価償却については、中古物件のカテゴリーに該当
堅牢性、断熱性・・・歴史ある物件の驚くべき特徴
ドイツの中古物件の良さはまず、その「堅牢さ」です。特に、19世紀後半から第二次世界大戦直後(1950年代後半)の間に建てられたマンションは、その壁に石やレンガを使用する、非常に丈夫な造りです。
ベルリンは地震の心配がないため、過去200年間を通じ、この丈夫な壁を壊すことができたのは、人間だけでした(第一次・第二次世界大戦)。完全に取り壊して新築するよりも、残ったスケレトンや壁を利用して建て直す方が安上がりだったということからも、どれほど強固に作られた建物だったかが分かります。
現在、当時と同じような建設資材・建築方法で建物を造ることは不可能です。というのも、そうすると、現在では人件費がかかりすぎてしまうからです。つまり、上記の時期に建設されたマンションは、二度と同じものが建てられない、そして新築物件は増加していくという面からも、中古物件の価値が今後も上昇し続けることは必須です。
もうひとつ、石やレンガで造られた建物の良さは、優れた断熱性です。厳しい冬季に、内側の暖かさを逃がさないだけでなく、夏には室内の温度を涼しく保つことができます。その断熱性の高さは、この10~15年間で新しく開発された断熱材が、やっと追いつくことができるようになったほどです。
壁の厚さは、約70cmから、最も厚いものになると2mにもなります。こういった物件は、見た目の美しさ、機能性、快適さなどから、ベルリン不動産市場において極めて需要が高くなっています。
次回は、投資目的に合った物件の選び方についてご案内する予定です。