(※画像はイメージです/PIXTA)

本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『金融ニューズレター(2022/4/14号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

4. インターネット上のプロ投資家向け広告の開示規制上の取扱い

金融庁は2022年2月16日に「企業内容等の開示に関する留意事項について(企業内容等開示ガイドライン)」(以下「開示ガイドライン」)の改正案を公表し、同年3月18日までの期間、パブリックコメントの手続を行いました※7

 

※7 https://www.fsa.go.jp/news/r3/sonota/20220216/20220216.html

 

従前より、開示ガイドライン4-1では、開示規制との関係において、「インターネット等により有価証券の募集又は売出しに係る広告をすることは「有価証券の募集又は売出し」行為に該当する」ことが示されていますが、改正案では、「インターネット上で広告により勧誘をする場合であって、当該広告を閲覧できる者が適格機関投資家又は特定投資家に限定されており、その適切な運用が確保されているとき」は、この考え方が当てはまらないことが明確にされています。そして、そのような場面の例として、「金融商品取引業者等が、適格機関投資家又は特定投資家のみがアクセスできるよう当該金融商品取引業者等の責任において管理している専用のウェブページに広告を掲載するとき」が明示されています。

 

本稿の執筆時点ではまだ改正が確定していませんが、改正案の内容による開示ガイドラインの改正がなされると、アクセス制限を行った上でインターネット上の専用サイトで取得勧誘を行う等の方法によって特定投資家私募や適格機関投資家私募を行うことも認められることが明らかになると考えられます。

5. 株式投資型クラウドファンディング規制の緩和

株式投資型クラウドファンディングによる資金調達のためのプラットフォームを運営することは、株式の募集の取扱いを行うものとして第一種金融商品取引業に該当しますが、一定の範囲で業務を行う場合には、第一種少額電子募集取扱業務として緩和された登録要件によって業務を行うことが認められています(金商法29条の4の2)。

 

2022年1月29日に施行された金融商品取引法施行令(以下「金商法施行令」)及び金商業等府令の改正により、第一種少額電子募集取扱業務に関する規制が緩和されており、改正内容の一つとして、特定投資家が投資を行う場合の投資上限額(50万円)が撤廃されています(金商法施行令15条の10の3第2号)※8

 

※8 https://www.fsa.go.jp/news/r3/shouken/20220128.html。このほか、第一種少額電子募集取扱業務の対象範囲に関して、発行会社が発行可能な有価証券の発行総額(1億円未満)の算定方法を見直すことによる規制緩和も図られています。また、第二種少額電子募集取扱業務についても同旨の改正が行われています。

次ページ6.特定投資家私募制度の整備と特定投資家に対する店頭有価証券の投資勧誘規制の緩和

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有吉尚哉

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