「ねえ、ところで運転はできる?」……3兄弟の長男であるYさんと結婚したAさんは、「長男の嫁」という理由で同居する義母にこき使われていました。その後、義母が亡くなりYさんの兄弟が実家に集結。相続についての話し合いが始まると、AさんはYさんの兄弟から「非情なひと言」を浴びせられるのでした。永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が、長男の嫁に起きた悲劇をとおして、相続トラブルを避けるための防止策と対応策を解説します。

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まるで「召使い」…辛すぎる姑との同居生活

Aさんは、都市部の看護学校を卒業後地元に戻り、町の保健師として日々働いてきました。


もうすぐ30歳というとき、周りの友人が続々と結婚していくなか、職場の知り合いから紹介されたのが3歳年上のサラリーマンYさんでした。

 

「結婚するまでは本当にいい人だと思っていました。頭がよくて、背も高くて」

 

親が転勤族だったAさんは、地元とはいえ、知り合いはあまり多くありません。年齢的に焦りもあり、Yさんとの出会いを「運命」だと思いました。

 

3年ほど交際し、ゴールイン。Yさんが「長男」であることは、結婚するまであまり気に留めることはありませんでした。結婚を決め、義母と一緒に暮らすまでは……。

 

義母「しっかりしていそうで安心したわ。長男の嫁だもの。Yはいい人をつかまえたわね」

 

しばらく前に義父は他界。Aさん夫婦は、義母が1人で住む実家に住まいを移し、一緒に暮らすことになりました。

 

「ところで、Aさん、車は運転できる? ちょっと近所に用事があるんだけど」

 

これがAさんにとっての「悪夢の始まり」でした。

 

その日から、Aさんは義母の病院の送り迎えや買い物の付き添いなど、ことあるごとに連れ出されるようになりました。

 

「仕事もあるのに、どうして私が休日返上で“召使い”しなきゃならないのよ」

 

Yさんに愚痴をこぼしても、「まあまあ」と宥められるだけです。「俺は忙しいから」と取り合ってくれません。

 

A「あなたの親でしょ? 共働きなんだから、あなたも手伝ってよ」

 

Y「来週も出張なんだよ。一緒に住んでるんだし、しょうがないだろ」

 

Aさんは、「長男の嫁だから」とさまざまな理不尽を飲み込んできました。

 

義母が認知症を患ったあとは、さらに大変でした。最初は日中ヘルパーさんにお願いしていましたが、義母がヘルパーに対し「わたしの物を盗んでいる」と言いがかりをつけるようになり、トラブルに。結局Aさんが仕事を辞め、付きっきりで介護せざるをえなくなりました。

 

義母が亡くなったとき、Aさんは正直哀しみよりも安堵のほうが強かったといいます。

 

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本記事は、GGO編集部あてに届いた事例をもとに、永田町司法書士事務所の加陽麻里布氏が解説したものです。

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