Q2. 胃もたれがひどくて熟睡できない気がします。夜の飲み過ぎ、食べ過ぎが原因でしょうか?
⇒A. 逆流性食道炎のリスクも考慮しましょう。
「食後すぐや、酔った状態で眠りにつくと、翌朝起きても睡眠不足を感じる」という声をよく聞きます。では、「睡眠の質を下げる夕食」とはどんなものでしょうか?
■「脂っこいものや塩辛いもの」は避けるべき。代表例はこってりラーメン
良い眠りのための食事としては、まず夜の空腹は避けましょう。覚醒のスイッチがオンになる神経伝達物質のオレキシンが出てしまい、眠れなくなります。だからといって、食べ過ぎや飲み過ぎでも、睡眠の質は悪くなります。特に胃酸が込み上げる逆流性食道炎は、かなり睡眠の質を下げることがわかっています。
胃酸過多の原因となる脂っこいものや塩辛いものは夕飯のメニューから外しましょう。例えばお酒を飲んだあとのこってりラーメンは、眠りの質を下げる鉄板の食べ物です。理想をいえばお酒も食事も、寝る2〜3時間前までにすませることです。
■逆流性食道炎、新型コロナ、睡眠時無呼吸症候群の「最凶トリオ」
私もラスベガス近郊の極寒の高地にあるレストランで「ここの料理は塩辛いな」と思いつつ無理をして食べたら、胃酸が逆流して眠れなかったことがあります。翌朝、同じ地区の違うレストランの食事も塩辛く、アメリカでも塩を多く摂取する地域があると知り驚きました。夕食をとった晩は、うとうとしても目が覚める最悪の状況でした。一過性の胃酸過多でもこんなに苦しいのだから、「原因不明の不眠症の正体が、実は逆流性食道炎だったというのも納得だ」と実感しました。逆流性食道炎は日本でも増加傾向にあります。
さらに因果関係は判明していませんが、睡眠時無呼吸症候群の人には逆流性食道炎の人が多く、その治療薬である胃薬(プロトンポンプ阻害薬)の使用によって新型コロナ感染リスクも高くなる、というデータもあります。
おそらく喫煙、飲酒、生活習慣病や肥満が「最凶トリオ」の共通項であるためだと思います。だからこそ睡眠の質を上げる夕食は、塩分と油が控えめなものを、眠る3時間前に少なめに。理論的には眠気を誘う「冷たい夕食」がいいのですが、生活の質を下げない温かくおいしい食事で、リラックスしたほうがいいでしょう。
西野 精治
医師、医学博士
スタンフォード大学医学部精神科教授
株式会社ブレインスリープ 創業者兼最高研究顧問
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】