世界の金融市場を動かす「投機マネー」なども意識する
「低位株」投資をある程度マスターすれば、目的設定シートに記入した収益目標に予定よりも早く到達できた、という経験をする方は少なくないと思います。
しかし、相場がどのような局面を迎えても利益を上げ続けるためには、その時々の細かな動きではなく、相場全体の大筋を見極める必要があります。短期投資であっても、「お金の流れがどうなっているのか」という広い視野で株式市場全体を俯瞰的に見るのです。
世界の金融市場では常に巨額の投機マネーが動いています。株式市場から債券市場へ、あるいは債券市場から商品先物市場へというように、何らかの理由があってさまざまな市場にお金が出入りしています。
そこからさらに個別銘柄に枝分かれして流れていくお金の流れをマクロの視点から眺めることは短期投資においても欠かせません。要は、その日の株式市場で買いと売りのどちらの力が強いのかをイメージできていれば、その日の戦略を強気でいくのか、それとも警戒していくのかを決められるからです。
大局観を前提とした自分なりの「相場観」を持つ
株式市場にお金が流れ込むと、株価全体がどんどん上がっていきます。まさに80年代のバブル相場がその代表例です。1989年12月に3万8957円の歴史的高値をつけるまで、お金がお金を呼ぶ状態が続いていました。
ところが、その後すぐに株価は暴落し、バブル崩壊が始まりました。一転して、株式市場からお金が逃げ出して、株価全体がどんどん下がっていったのです。
このように株式市場という水槽にほとんど水(お金)が張っていない、経済がボロボロのときに売りから入ることができれば、それだけ低リスクながらも高い収益が得られやすくなるということです。
相場が暴落するときは、大きな売り圧力がかかることで日経平均株価が1日で大きく急落します。これまで買い支えていた機関投資家やヘッジファンドが逃げ出せば、個人投資家もその動きに追随するため、後は下がり続けるしかありません。逃げた資金は米国債やゴールドなどの安全資産に流れていくでしょう。
このように投資を行う際には、単に株価の上げ下げだけを見るのではなく、「これから株式市場にお金が入り込んでいくのか、それとも逃げていくのか」というお金の流れを見極めること――つまりは、「大局観」を前提とした自分なりの相場観を持てるようになれば、これまで以上に投資の精度が上がってくるはずです。