情報収集に力を注ぐ=「大局観を持つ」ではない
個人投資家の多くは、投資に関する情報を集めることには積極的でも、集めた情報を自分の相場観に落とし込むことはさほど重視していません。
皆さんが勝ち続けることができないのは、情報が足りないからではありません。インターネットを検索すれば、ミクロからマクロまで無料で拾える情報は山ほど転がっています。しかし、これらは断片的な情報であり、書籍でいえば目次を拾い読みしているようなもの。ただ情報を集めるだけでは、実際の取引で役に立ちません。
今のような情報社会では、得られた情報の大半はすでに多くの人の目にさらされています。むしろ情報を集めれば集めるほど、あなた自身が振り回されるだけです。
大局観を持つということは、情報収集に力を注ぐことではありません。世の中に溢れる膨大な一次データの中から、必要な情報を取捨選択し、それを自分の相場観に当てはめることで、株価を先読みして適切な戦略を講じられる、ということなのです。
まずは前日のニューヨーク市況を観察する
それでは、どのような情報を取捨選択し、自分の相場観に当てはめていけばいいのでしょうか? 大局観を養うには、まずは前日のニューヨーク市況を押さえることです。
アメリカの金融市場には、世界最大の株式市場であるニューヨーク証券取引所が存在します。ニューヨーク市場とナスダックだけで世界の時価総額の約4割を占めることから、巨額の投資マネーはアメリカに集中していることが読み取れます。ブラックマンデーに始まりリーマン・ショックに至るまで、株価暴落の震源地となるのは決まってアメリカでした。
また、世界経済のグローバル化が進む中で、世界中のマーケットが連動性を高めています。一つの国で変調が見られると、そこから世界経済全体に波及する傾向が強まっていますが、やはりその中でも米国が与えるインパクトは他国の比ではありません。
昔から「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪を引く」という言葉が使われてきたように、世界中の投資家が注目している米国の株式市場が日本の株式市場に与える影響は今も昔も多大なものとなっています。
米国の株式市場が日本時間の朝に閉まると、その後に日本の株式市場が開くことから、米国の流れをそのまま引き継ぐような展開を見せることが多くあります。したがって、米国の株式市場の引け値を見てから、日本の株式市場に投資するのも有効な手法となっています。