必死に働いても…シニア会社員、老齢年金「減額の事実」に呆然【税理士が解説】

必死に働いても…シニア会社員、老齢年金「減額の事実」に呆然【税理士が解説】
※写真はイメージです/PIXTA

現在の年金制度は、高齢になってからも働く会社員の方々にとって残念な設計になっています。働きながら年金を受け取ると、年金額の一部または全部が支給停止となることがあるのです。今回は、在職老齢年金制度について取り上げます。専門家が解説していきます。

会社で働き続け、高年齢雇用継続給付をもらっても減額

専門家:ちなみに、労働保険の制度で「高年齢雇用継続給付」というのは知っていますか?

 

相談者:いえ、知りません。高年齢雇用継続給付とはなんですか?

 

専門家:高年齢雇用継続給付というのは、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の加入者に対して、給与が60歳到達時の75%未満となった方を対象に、最高で給与の15%が雇用保険から支払われる制度です。60 歳以降も会社で働き続ける場合、一般的には、給与水準を大きく下げられるはずです。75%を下回ることも十分ありますから、その場合、年齢雇用継続給付をもらえることになります。

 

相談者:えっ、そうなんですか!? それは助かりますね! つまり、在職老齢年金と高年齢雇用継続給付と給与の3つを同時に受取ることになるんですね。雇用保険は老後にも役立つのですね!

 

専門家:ただし、その場合も老齢厚生年金が減額されることになるんですよ。在職老齢年金制度による減額だけでなく、さらに標準報酬月額の6%が減額されてしまうんです。

 

相談者:えーっ、また減額ですか!? どれくらい減額されるんですか?

 

専門家:例えば、基本月額10万円と総報酬月額相当額20万円の方が、高年齢雇用継続給付を3万円もらっているケースを考えてみましょうか。この場合は47万円を超えていませんから、在職老齢年金制度による減額はありませんね。しかし、総報酬月額相当額20万円のうち6%、すなわち1万2000円が減額されてしまうのです。

 

図2

 

相談者:それでは、老後の生活が苦しくなりませんか?

 

専門家:まぁ、1万2000円くらい減額されても、高年齢雇用継続給付を3万円もらえていることを考えれば、そんなに不利な制度ではないですよ。会社で稼ぐ20万円と高年齢雇用継続給付の3万円、そして減額された老齢厚生年金8万8000円を合計すると31万8000円ですから。

 

相談者:まぁ、それならば生活は大丈夫ですね。いやー、公的年金の制度って本当に複雑ですね。

 

 

老齢厚生年金については、こちらの動画をチェック!

在職老齢年金については、こちらの動画をチェック!

 

 

大貫 友久(おおぬき ともひさ)
税理士
吉岡マネジメント・グループ/税理士法人日本会計グループ 代表社員・理事長

 

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