「理想の睡眠時間」が取れなくても大丈夫…スタンフォード大学医学部教授が教える「黄金の90分」

「理想の睡眠時間」が取れなくても大丈夫…スタンフォード大学医学部教授が教える「黄金の90分」
(※写真はイメージです/PIXTA)

慢性的な不眠で悩んでいる。睡眠不足や睡眠障害が不調や病気を引き起こし、クオリティ・オブ・ライフを下げることは明らかです。良い睡眠を取るには時間の確保は必要ですが、単に長ければいいというものではありません。脳と体をしっかり休めるためには、どうすればよいのでしょうか? 睡眠研究の第一人者、スタンフォード大学医学部精神科教授・西野精治氏の最新刊『スタンフォードの眠れる教室』から「黄金の90分」について解説します。

Q2. 就寝時間が遅くて「黄金の90分」に眠れません。

⇒A. 何時に寝ても大丈夫です。

「黄金の90分」によってホルモンバランスや自律神経も整うため、心と脳がリフレッシュされます。逆にいえば、例えばうつ病の人は入眠直後の深いノンレム睡眠が出にくく、出ても短くなることがわかっており、そうなってくるといくら長く寝ても疲れが取れず、スッキリしないという悪循環に陥ります。入眠して最初に訪れる一番深い眠り、「黄金の90分」がいかに大切かは、だいたいお伝えできたと思います。

 

■「0時前に寝ないと黄金の90分を逃す」は誤解

時折、「仕事柄、日付が変わる前に就寝するのは無理なので、黄金の90分を逃しています」という話を耳にしますが、困った誤解です。

 

しっかりと訂正しておきます。午後10時に寝ようと、午前2時に寝ようと、眠って最初に出る深い眠りが「黄金の90分」です。午前0時前に寝ても入眠直後に深い睡眠が出現しないなら、黄金ではなく金メッキの90分です。

 

なぜ、こんな誤解が広まってしまったのでしょう? 「入眠直後が黄金の90分」となると、人は「何時に寝たらいいのか?」と目安を知りたがります。1日7時間寝るのが理想として、朝6時から7時に起きるなら、逆算して「午前0時前後にベッドに入ればいい」となります。そこから「日付が変わる前に寝ないと黄金の90分にならない」という説ができたのでしょうか。

 

美容系ではこれがさらに発展し、「午後10時から午前2時までがお肌のシンデレラタイム」といった情報もあります。その理由として「この時間帯に(成長)ホルモンが大量に分泌される」となっていますが、深いノンレム睡眠中でなければ、魔法のごときホルモンの恩恵にはあずかれず、シンデレラになるのは無理でしょう。要は何時に寝ても良いのですが、入眠直後のノンレム睡眠を深く長く90分程度持続させることが必要で、そのためには、いくつかのTIPSがあります。これからの連載で、そのTIPSを順を追って紹介できればと思います。

 

 

ライフスタイルも働き方も多様化し、育児中だったり、介護をしていたり、シフトワーカーだったりする人が、全員「日付が変わる前に寝る」というのは不可能です。

 

理想の睡眠時間を取れない人は大勢います。しかし「7時間の理想の眠り」は無理でも、「最初の深い眠りである黄金の90分の確保」なら、できる人は増えます。

 

最小限の努力で最大限の効果が期待できる――それが「黄金の90分」なのです。

 

 

西野 精治

医師、医学博士

スタンフォード大学医学部精神科教授

株式会社ブレインスリープ 創業者兼最高研究顧問

 

【関連記事】

税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると

あなたにオススメのセミナー

    スタンフォードの眠れる教室

    スタンフォードの眠れる教室

    西野 精治

    幻冬舎

    寝られなくても大丈夫! 科学的エビデンスで長年の悩みを解決。睡眠の誤った常識を覆す、眠りの研究最前線とは? 30万部を突破した前著『スタンフォード式 最高の睡眠』から5年。睡眠研究の権威・西野精治氏による待望の…

    人気記事ランキング

    • デイリー
    • 週間
    • 月間

    メルマガ会員登録者の
    ご案内

    メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

    メルマガ登録
    TOPへ