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本記事は、フィデリティ投信株式会社が提供するマーケット情報『マーケットを語らず』から転載したものです。※いかなる目的であれ、当資料の一部又は全部の無断での使用・複製は固くお断りいたします。

インフレがどうなるかは「誰にもわからない」?

次に、1970年代のスタグフレーションは、1960年代の過剰な景気刺激と、1970年代の金融緩和(1971年のニクソン・ショック、ドルの切り下げ)および供給ショック(1973年の第1次オイル・ショック)によって起きています。

 

言い換えれば、上記の主張が列挙している(そして、今回起きている)「カネ余り」と「供給ショック」こそが、スタグフレーションのマクロ要因だったわけです。

 

そして、1970年代にも「ベース効果」は存在したものの、インフレ率は上昇を続けたわけです。また、昨年に米連邦準備制度理事会(FRB)を含め、さんざん「インフレ率はベース効果で来年には衰える」と言い、インフレ率はさらに高まってきたわけです。

 

最後に、不動産バブルを退治しにいけば、住居費やインフレ率は鈍化するでしょうが、そのころには、景気はハードランディングに陥っているでしょう。

 

「インフレは収まった。景気後退がきたけど……」と、「逆イールドは解消した。もっと強い引き締めがきたけど……」は似ていますが、それでは意味がありません。

 

もちろん、インフレが早晩、ピークアウトする可能性は残されています。

 

言い換えれば、「インフレがどうなるかは、誰にもわからない」のです。

 

筆者としては、「仮に、インフレが収まらなければ、どのような投資行動を取ればよいのか」、「仮に、インフレが収まるのを見届けるまでFRBが引き締めを続けるならば、どのような投資行動を取ればよいのか」を考えておくべきだと感じます。

 

「インフレにいかない」と考える根拠が昨年と同じものでしかなく、ウクライナ危機というインフレを助長する事態が加わったことを考えれば、なおさらそうです。

いまほどポートフォリオ構築が重要なときはない

なじみ深いパターンですと、引き締めで、まずは株式が、やがてコモディティが苦しくなり、国債が優位になり、貨幣発行でゴールドが優位になるというパターンです。そうなると、「株式から国債へのシフト」という(苦難の)道を進む必要があります。

 

他方で、幸いと言ってよいかどうかわかりませんが、現状では、インフレが高止まりしたり、スタグフレーションになる可能性も考慮しなければならないでしょう。そうした状況下では、株式やリート、商品、ゴールドへの分散投資を続けることが望ましく、国債は(現預金も)あまり良好ではなさそうです。

 

分散投資やポートフォリオというと面倒な印象があるかもしれませんが、いまこそ、インフレ(→先進国のリート)、景気拡大(→先進国の株式)、停滞(→米国債と、下値が限定的で戻りが早い米国ハイ・イールド債券)、スタグフレーション(→商品やゴールド)など、さまざまなシナリオに耐えられるようなポートフォリオを構築する絶好のタイミングでしょう。

 

 

重見 吉徳

フィデリティ投信株式会社

マクロストラテジスト
 

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