難しいのは、インフレが読めないこと
加えて難しいのは「インフレの動向がまったく読めない」ということです。
最近の長期金利の上昇や利上げ織り込みの強まりを考慮しても、金利の水準は、インフレを抑制するには十分ではない恐れがあります。
それは、
A.高めのインフレが残るか
B.引き締めがさらに強化されるか
のどちらかにたどりつきます。いつかお伝えしたいですが、パターンAが1973-74年型、パターンBが1979-80年型です。歴史が韻を踏むなら、直接Bにはいかず、Aを経てBにたどり着きます。
他方で、FRBやマーケット・エコノミストが見込むように、インフレ率が年後半に鈍化していけば、「インフレと引き締めが両方穏当になる」ハッピー・シナリオに向かうかもしれません。
引き続き、幅広い資産に分散することが重要でしょう。インフレと引き締めの両方に目配せをする必要があります。株式のなかでのセクター配分も確認されてください。銘柄選択も重要です。「多くのサイクルを生き残ってきたファンド」に投資をすることが一案でしょう。
インフレ局面における「過去の教訓」
問題は、インフレがピークアウトするまでになにが起きるか、である
インフレに関連して、前週末に「スタグフレーションには否定的だ。このインフレは、供給ショック(→パンデミックとウクライナ危機)と、(カネ余りが招いた)不動産バブルによるものであり、ベース効果を含め、インフレはピークアウトする」との見解を目にしました。
この主張について、少し考えます。
まず、いつか「インフレがピークアウトする」ことは事実でしょう。それは「いつか、株価が上がる」というのと同じです。筆者も「いつかインフレがきます」と述べてきました。
問題は、インフレが「いつか」ピークアウトするまでに、①引き締めによって景気後退がくるかどうかであり、さらに言えば、②フランス大統領選挙において見られるように、物価上昇によって国民に不満が生じ、(補助金などの物価抑制策を訴える)ポピュリストの台頭によって、国内や国際的な分断が起きるかどうかです。
①が1970年代の教訓であり、②が1930年代の教訓です。