成年年齢引き下げ…贈与税への影響
①相続時精算課税制度
60歳以上の父母または祖父母から財産の贈与を受けた場合において選択できる制度であり、それぞれ最大2500万円までの贈与について、贈与税が非課税になります。選択後は暦年贈与に戻ることはできず、贈与された財産は相続時において相続財産に加算して相続税を計算することとなります。
【改正後】
対象となる受贈者は、贈与をした年の1月1日において18歳以上の者となります。
②直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税率の特例(暦年贈与)
2015年以降の贈与税(暦年贈与)の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」で区分されています。基礎控除後の課税価格が300万円超4500万円以下の贈与において特例贈与財産の税率が一般贈与財産の税率より低くなっています。
【改正後】
対象となる受贈者は、贈与をした年の1月1日において18歳以上の者となります。
③直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税制度
直系尊属(父母や祖父母)から自己の居住の用に供する住宅用家屋の新築、取得または増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の非課税限度額までの贈与税が非課税となります(2022年の税制改正により2023年12月31日まで適用期限が延長されています)。
【改正後】
対象となる受贈者は、贈与をした年の1月1日において18歳以上の者となります。
【①~③共通の留意点】
以上の①~③の規定は2022年4月1日以後に行われた贈与について適用されます。従って2022年1月1日に受贈者が18歳・19歳の場合は、2022年1月1日から2022年3月31日までに行われた贈与については、これらの規定の適用はありません。
④直系尊属から結婚子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度
直系尊属(父母や祖父母)から結婚・子育て資金に充てるために贈与を受けた金銭について、1000万円まで贈与税が非課税となる制度です(2021年の税制改正により2023年3月31日まで適用期限が延長されています)。
【改正後】
2022年4月1日以降は、銀行等との資金管理契約締結日において18歳以上50歳未満の受贈者が対象となります。
事業承継税制における納税猶予、免除の制度への影響
後継者が先代経営者から非上場株式や事業用資産を贈与または相続により取得した場合に、経営承継円滑化法の認定を受けることを要件に、贈与税と相続税について納税の猶予と免除を受けられる制度です。
【改正後】
2022年4月1日以降、対象となる後継者は贈与日おいて18歳以上の者となります。
近年の政府税制調査会においては、相続税と贈与税に関する現状の制度を見直し、その一体化が本格的に検討されています。この状況を踏まえて、お子様やお孫さんへの生前贈与を検討されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の民法改正により、贈与税の特例制度については適用を受けられる受贈者の範囲も広がります。
贈与財産の内容や贈与の目的などをよく説明し理解を得た上で、贈与者と受贈者双方の意思確認を行い、必要に応じて契約書の作成等を行うなど有効な贈与を行っていただきたいと思います。