※画像はイメージです/PIXTA

「父が亡くなってしばらくしてから愛人を名乗る女性が現れた!」というケースは、現実にも起こっています。そうなると相続の現場は大混乱です。そんな不測の事態で、どのように対処すればいいのか解説していきます。なおこの記事では、一方あるいは双方に戸籍上の配偶者がいて、互いに婚姻の意思がない交際関係にある人を「愛人」と呼ぶことにします。

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愛人は遺産を相続できない

原則として愛人に相続権はなく、遺産を相続することはできません。配偶者として遺産を相続できるのは、婚姻届を提出した戸籍上の配偶者に限られます。したがって、愛人を名乗る女性が現れて遺産を要求してきたとしても、原則では遺産を渡す義務はありません。

 

しかし、次の章でご紹介するような遺言や死因贈与契約があれば拒絶することができなくなってしまいます。

遺言があれば遺産は愛人のものになる

「愛人に遺産をすべて継がせる」というように、愛人に遺産を渡すという内容の遺言や死因贈与契約があれば、遺産は愛人のものになってしまいます。

 

ただし、戸籍上の配偶者・子であれば遺産をいくらか取り戻すことができます。また、配偶者がいるのに愛人と交際するのは公序良俗に反するとして遺言を無効にできる場合もあります。

 

遺産が愛人のものになる2つのケース

 

遺産の相続権がない愛人に遺産が渡るケースとしては次の2つの場合があげられます。

 

・愛人に遺産を継がせると遺言に書かれていたケース
・愛人と死因贈与契約が結ばれていたケース

 

死因贈与とは「私が死亡したら愛人に財産を渡す」といった内容の贈与契約です。遺言ではいわば一方的に遺産を渡すのに対し、死因贈与は遺産をもらう人と生前に合意することが特徴です。

 

いくら故人の遺志とはいえ、愛人に遺産を継がせることは妻子にとって受け入れがたいものです。しかし、遺言や死因贈与契約が法的に有効であるなら、一度は愛人に遺産を渡さなければなりません。

 

厳密には遺産ではありませんが、愛人が生命保険の受取人になっていた場合も愛人にお金が渡されます。ただし、現在は愛人を保険金の受取人にすることは難しいため、詳しい解説は省略します。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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