今や3人に1人…「お酒は適量、肥満でもない」日本人が「脂肪肝」になるワケ【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

脂肪肝というと、少し前まではお酒が好きな人の病気と思われていました。しかし、お酒を飲まないからといって油断はできません。国内の脂肪肝の患者数は約3000万人と推計されていますが、そのうち、過剰飲酒を伴わない脂肪肝「NAFLD」は推計1000〜2000万人とも言われ、“お酒を飲まない人の脂肪肝”もかなりの人数になっています。また、NAFLDの中でも、肝硬変や肝がんに進行することもある「NASH」というタイプもあるのです。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

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「NAFLD/NASH」の疾病率は、日米で同程度

■脂肪肝がはじめて注目されたのは、肥満患者の多い米国だったが…

メタボとつながりが強いと思われがちな脂肪肝ですが、肥満ではない正常体重の人でも脂肪肝になることがあります。

 

NAFLDの患者は、アメリカでは肥満の人において疾病率が高くなっています。ですが日本人は肥満の割合がアメリカほど多くないはずなのに、NAFLD/NASHの疾病率はアメリカと同程度です。その理由として次のように考えられます。

 

肥満とは単に体重が多いだけではなく体脂肪が過剰に蓄積した状態をいいます。体脂肪は本来ならばエネルギー源であるブドウ糖が体内で不足した場合に、それを補うものとして使われます。

 

体脂肪は脂肪が付く場所により皮下脂肪と内臓脂肪に分けられます。体脂肪は、食事の脂肪や糖から作られます。その中でエネルギーとして消費されずに体内で蓄積されたものが体脂肪となります。体脂肪が皮膚のすぐ下の皮下組織に付くと皮下脂肪となります。内臓の周りに溜まると内臓脂肪となります。そして皮下脂肪、内臓脂肪という脂肪組織に入りきらなかった場合に異所性脂肪となるのです。異所性脂肪というのは、文字どおり本来溜まるはずのない場所(肝臓や心臓といった臓器や筋肉など)に蓄積される脂肪のことです。異所性脂肪が肝臓で増えていくと脂肪肝になります。

 

■アジア人は中性脂肪の貯蔵先が少ない分、異所性脂肪が溜まりやすい

アジア人は小柄な人が多く中性脂肪の貯蔵先である皮下脂肪や内臓脂肪のストックがもともと少ないとされるので過食すると異所性脂肪が溜まりやすく、脂肪肝になりやすいと考えられています。

 

特にBMI(英語表記Body Mass Index/体重kg÷身長mの2乗)が25未満の人のNAFLDは、欧米よりもアジアで疾病率が高いとされています。その原因としてPNPLA3という遺伝子の変異がアジア人に多く見られ、それがNAFLD/NASHの発症や進行に関わっている可能性があるようです。

無理なダイエット、極端な食事制限によっても発症!?

意外なことかもしれませんが、ダイエットによる栄養障害でも脂肪肝になることがあります。

 

肝臓は血糖を一定に保つ機能があります。極端な食事制限をした場合、体内では血糖値が低下してインスリン分泌の低下が起こります。体はエネルギー不足となっているので、皮下脂肪などから脂肪を分解し遊離脂肪酸を血中に分泌します。そのうち使われなかった遊離脂肪酸は肝臓に集まり、肝臓はそれを中性脂肪に変えようとします。

 

このとき肝臓に集まった中性脂肪を血液中に流すには、たんぱく質の助けが必要です。ところが極端な食事制限やある特定の食材しか食べないダイエットをしていると、たんぱく質が不足しているので、血液中に脂肪を流すことができません。その結果、肝臓に中性脂肪が溜まり続けてしまい脂肪肝になりやすいというわけです。

 

私が知るなかにも、やせている女性に脂肪肝が見つかった例があります。年齢は60歳、食事は質素で、お酒も飲まず、趣味で登山を楽しんでいる女性でした。なぜか健康診断の肝臓の数値が悪く、超音波検査をしたところ、すでに肝硬変へと進行していました。

 

女性の体の特徴として、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが、脂質の代謝に深く関わっていることが分かっています。閉経後は、エストロゲンの体内の量が急に減るために中性脂肪の値が急上昇することがあります。

 

そして脂っこいものを控えようとたんぱく源である肉や魚を控え過ぎ、肝臓内の中性脂肪を排出するためのたんぱく質が十分に生成できなかったことで中性脂肪がうまく肝臓の外に運び出されなかったなど、なんらかの食生活が影響したとも考えられます。

 

脂肪肝になりたくなければ、必ず肉や魚類の動物性たんぱく質と大豆食品などの植物性たんぱく質の両方を組み合わせて摂るようにし、栄養バランスを崩さない食生活をすることが重要となります。また食べた分だけきちんと消費できるように、日常生活での活動量を増やす意識も必要です。

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

 

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みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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