新型コロナ「重症化」リスク大…「脂肪肝」のとんでもない事実 (※写真はイメージです/PIXTA)

脂肪肝は肥満者やアルコールの飲み過ぎの人がなりやすい病気です。しかし、国内の推計約3000万人の脂肪肝患者のうち、過剰飲酒を伴わない脂肪肝「NAFLD」は1000〜2000万人いるとも言われます。また、日本はアメリカほど肥満の割合が多くないにもかかわらず、NAFLD/NASH(NAFLDの中でも、肝硬変や肝がんに進行する可能性があるタイプ)の疾病率はアメリカと同程度、という怖いデータも…。身近でありながら意外と知られていない、脂肪肝の本当のリスクを見ていきましょう。

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現代人は誰しも脂肪肝になる可能性がある

脂肪肝の発生には生活習慣が深く関係しています。過度な飲酒習慣や偏った食生活そして運動不足などにより現代人は、誰もが脂肪肝になる可能性があります。

 

食事の内容としては、高脂肪食、高カロリー食、高塩分食、代表的なものにジャンクフードの食べ過ぎがあります。また砂糖をたっぷり使った菓子類やジュースなどの間食が多い、食事が炭水化物中心で栄養バランスが崩れている人も要注意です。それに加え朝ごはんを食べず、夜遅い食事が多いなどの不規則な食事も脂肪肝になるリスクを高めます。

 

さらには基礎代謝の問題があります。一般的に基礎代謝は加齢に伴って低下していきます。筋肉量の減少や活動量の低下が原因ですが、基礎代謝が減っているのに以前と変わらない量を食べ続けていれば、摂取エネルギー>消費エネルギーとなり太りやすくなります。年齢とともに脂肪肝になる人が増えていくのには、こうした基礎代謝の問題も背景にあるでしょう。

 

肥満と肥満でない人では、肥満の人のほうが脂肪肝になる可能性が高くなります。男性では肥満になると約5.5倍、女性ではなんと約9倍も脂肪肝になることが分かっています。厚生労働省の調査によれば、40歳から74歳の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリック症候群予備群とのことですから、脂肪肝予備群の人も国内に相当数いると考えられます。

1年間で体重2kg程度増えただけでも脂肪肝になり得る

いわゆる“コロナ太り”という言葉は、すっかり耳慣れたものになりました。

 

2019年の12月上旬に確認された新型コロナウイルス感染症は、2022年3月現在、いまだ収束には至っていません。変異株の出現で、ウイルスの感染力が度々変化することもあり、新型コロナウイルスと共存する生活はまだしばらく続きそうです。

 

感染拡大時には、たびたび緊急事態宣言が出され大人も子どもも外出を控える、いわゆるステイホームが余儀なくされました。

 

通勤で毎日歩いていた人が在宅勤務に切り替わることで、運動不足になることがあります。自粛生活のストレスでお酒を飲む機会や間食が増え、ストレスによる過食が増えることもあります。コロナ禍の影響から体重をコントロールするのが難しくなった人は多くいるかと思います。ある調査では、コロナ禍以前に比べ約3人に1人が体重増加したとの報告もありました。

 

ここで注目すべき研究データを一つ紹介します。国内の一般病院での健康診断受診者4401人のうち新規のNAFLD患者は約10%に認められ、新規患者の1年間の体重増加の平均値は1.7kgでした。そしてNAFLD患者と認められた人たちの多くは、メタボリック症候群の基準を満たしたという報告です。

 

この調査から、1年間で2kg程度体重が増えただけでも脂肪肝になり得ることが分かります。先行きが見えないコロナ禍のなかで、多くの人の健康管理のために脂肪肝対策がますます重要になると考えられるのです。

コロナ禍では「脂肪肝であること」がハイリスク

脂肪肝と新型コロナウイルス感染症(COVID‒19)との関連で、もう一つ注意喚起しておかねばならないことがあります。

 

日本肝臓学会は、このコロナ禍である提言をリリースしました。そのなかには、「NAFLDはCOVID‒19に罹患すると重症化する可能性がある。また、肝硬変、肝がんなどの肝臓病も、COVID‒19の重症化に関わる要因であることが報告されている」と書かれています。

 

一方で厚生労働省の診療の手引きによると、COVID‒19重症化のリスク因子として、65歳以上の高齢者・慢性閉塞性肺疾患(COPD)・慢性腎臓病・Ⅱ型糖尿病・高血圧・脂質異常症・肥満(BMI30以上)などが挙げられています。

 

NAFLDの患者は高い頻度で肥満、糖尿病、心・血管疾患を合併症としてもっているため、血栓塞栓症が生じやすいといわれています。つまりCOVID‒19では、脂肪肝であることがハイリスクとなるのです。現時点では実態ほどには注目されていない脂肪肝ですが、脂肪肝がCOVID‒19のリスクを測る指標の一つとして認識されれば、多くの人が危機感をもつようになるはずです。

脂肪肝は本来、メタボや糖尿病と並ぶ「要注意の疾患」

特に、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は増えてきており、肝臓病の専門家たちは今後要注意の疾患として注目しています。しかし一般的には、脂肪肝はメタボや糖尿病ほど要注意の疾患だとは思われていません。それは、脂肪肝の本当のリスクについて知る人が少ないからだと思うのです。

 

脂肪肝の増加傾向は今後も続き必ずや社会問題化するのではないか、そしてあと数年もすれば脂肪肝が生活習慣病のリスク診断で大きな意味をもつ時代が来るのではないか、と私はみています。脂肪肝と生活習慣病は関連があることが分かっています。脂肪肝の診断技術が進歩して早期発見・治療につなげることができれば、深刻な肝臓病や心・血管疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)発症に至る危険性をかなり減らせるはずです。私は消化器専門の医師として、脂肪肝に目を向ける人がまだまだ少ない現状を、とても歯がゆく感じています。

 

今の時点では、メタボのように一般の人にとって分かりやすい診断基準はありません。だからこそ見逃されやすいこの脂肪肝というものの怖さの認知が必要となります。そして脂肪肝の放置をやめて予防や治療に努めることが重要なのです(※1、※2)

 

※1 日本肝臓学会「日本肝臓学会からの提言」

※2 日本肝臓学会「日本肝臓学会:COVID-19関連情報」

 

 

川本 徹

みなと芝クリニック 院長

 

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みなと芝クリニック 院長 東京女子医科大学非常勤講師
東邦大学医学部客員講師
元日本胆道学会評議員

1987年筑波大学医学専門学群卒業。1993年筑波大学大学院医学研究科修了。大学院修了後は筑波大学附属病院の消化器外科に所属し、研鑽を積む。

1996年筑波大学臨床医医学系外科講師に就任。胆道外科を専門とし、特に胆のうがん、胆管がんの外科治療に専従する。2003年に渡米し、アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがんセンターにてがん分子標的薬の研究に従事し、がんの発生および進展メカニズムについて深い知見を有する。

現在は東京都港区にみなと芝クリニックを構え、内科・胃腸内科と外科のほかに、皮膚科、整形外科、大腸・肛門外科を標榜し、幅広い診療を行っている。

著者紹介

連載その放置が死を招く!?「脂肪肝」の怖さと正しい対処法

※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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