(※写真はイメージです/PIXTA)

一口に「塾」といっても、学習サービスの内容や質にはかなり大きな差があります。「大手の塾なら安心」「とりあえず通わせるだけでも、少しは学力がつくだろう」と気軽に考える保護者も少なくありませんが、残念ながらそうはいきません。花咲スクール代表・大坪智幸氏は、教育機関の看板を掲げていながら、およそ教育とは呼べない営利目的に走っている塾が少なくなかったり、よかれと思った「塾選び」がかえって学力アップの妨げになったりするケースもあると指摘します。高い費用がかかるからこそ知っておきたい、塾の活用方法について見ていきましょう。

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「あなたにはこの講習が必要です」の本音は売上アップ

費用ということでいえば、大手フランチャイズ塾の講習システムや授業料の料金体系も、私から見ると詐欺のようだと感じることばかりです。

 

成績が上がらない生徒に対して塾が何をするかというと、授業や講習をどんどん増やすのです。担当の講師や教室長が出てきて「あなたには、コレが必要だから」と講習の追加を勧めてきます。

 

授業コマ数を増やすだけで学力が上がるのであれば、単にそれまでの授業の演習や宿題などの全体的な学習量が足りなかっただけです。塾側は、そうした指導の不足はおくびにも出さず、まるで追加講習によって学力が上がったかのように振る舞うわけです。

 

季節講習や受験期の特別講習も同じしくみです。ほぼすべての塾で夏休み・冬休みといった学校の長期休暇には夏期講習・冬期講習が組まれています。そこでまた通常授業とは別に、講習料が発生してきます。

 

そこでも「前学期の学習でこの部分の理解が不十分だから」とか、「次学期に向けて、ここまでやっておくと安心」など、さまざまな理由をつけて季節講習を多く取らせます。その最大の目的は、塾の売上アップです。とある個別指導塾では、生徒に一定額以上の季節講習を取らせることが、担当講師のノルマになっているといいます。

 

受験期の「XX特訓」といった特別講習もそうです。「あなたがA校に受かるためにはこの講習が必要」と脅されたら、合格したい生徒や保護者は断ることなどできません。

 

こうした受講システム・料金体系は、人間心理を知り尽くしたうえで「このアイテムがあれば、敵を攻略できる」と巧みに誘い込む、課金ゲームとまったく同じです。一見、本人が希望して行っているように見えますが、結果的に生徒と保護者が講習費を搾り取られ、塾が儲かるようなしくみになっています。

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※本連載は、大坪智幸氏の著書『デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

デタラメ受験戦争 失われた「学びの本質」

大坪 智幸

幻冬舎メディアコンサルティング

知育と徳育の両面から指導すれば、子ども一人ひとりの生きる力を引き出せる。 「塾屋」が提言する学びの本質とは? 学習塾を経営し自ら教壇に立って指導をする著者は、現在の受験本位の教育は本当の意味で子どものために…

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