(※写真はイメージです/PIXTA)

東京都によると、築後51年以上のマンションは東京都だけで2,629棟、全体の約5%にのぼるといいます(マンション実態調査)。こうした「老朽化マンション」について、10年後には1万棟を超えると想定される一方、大部分は建替えられずに放置されているのが現状です。今回、これら老朽化マンションの住人を待ち受ける「残酷な未来」と、建替えが不可能な場合に実践すべき「2つの対策」について、不動産鑑定士の三浦雅文氏が解説します。

建替えも売却もできないなら「延命措置」

マンションの「延命措置」は、資産価値がある(売れる・貸せる・使える)状態をできるだけ長く保つ努力を継続することです。これは組合の意思決定権を持つ理事会が継続して機能し続けることが絶対条件です。(外部オーナーなどは、物件に居住しているわけではないためマンション内の情報に疎くなります。)

 

「延命措置」を行う場合は、送られてくる総会議事録に目を通すことはもちろん、理事会議事録を閲覧して建物の不具合や組合運営上のトラブルなどをチェックし、維持管理状況を正しく把握する必要があります。

 

現状組合運営に無関心な住民がいたり、理事の成り手がいない場合は、「どのように理事会を毎年運営していくか」、すべてはそこから始まります。

 

「とにかく、やれることはやろう」という意識や、それぞれのマンションに合った「長期修繕計画」の見直しとこまめな修正、そしておカネのやり繰りが、理事はもちろん1人ひとりの区分所有者に求められます。

 

どんなに法制度が整ったとしても、「マンションを所有している=運命共同体の一員」ということを忘れないようにしましょう。

 

区分所有権という権利を細分化した資産は、取得時は「〇〇号室」という専有部分へどうしても目が行きがちになり、土地の「持分」には気にも留めません。

 

しかし処分するときになって、その土地の「持分」が表へ顔を出し、区分所有者全員の合意形成を困難にするのです。

 

時代の変化が激しい現代の資産管理は、「意思決定のスピード」が大事になります。いまある資産の内容を改めて見直す時期に入っているかもしれません。

 

 

三浦 雅文

不動産鑑定士
 

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