(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年5月に金融商品取引法が改正されて誕生した「デジタル証券(ST:セキュリティトークン)」。金融商品の小口化をもたらし、流動化を促進するデジタル証券は、個人投資家の資産運用にどのような変化をもたらすでしょうか。PayPay証券の創業メンバーで、現在はHash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏が詳しく解説します。

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新しい投資…資産防衛に役立つ「オルタナティブ資産」

資産運用においては、株式と債券などの「伝統的な資産(トラディッショナル資産)」への投資が中心です。

 

長期的な成長を享受する株式と、安定的なインカムをもたらす債券。この2つの投資対象を組み合わせ、リスク志向や市況などのニーズにしたがって配分を変更することで、リスクをコントロールしながら成長リターンを得ることができます。

 

しかしながら、株式・債券それぞれが景気変動、金利動向、その他個別のイベント発生などで、価格下落リスクを持ちます。このリスクはそれなりに甘受しなければならないものです。

 

そこで、これらトラディッショナル資産と理論的に異なる値動きをする(相関性が低い)資産をあわせ持つことで、そのリスクを緩和しようとする運用があります。そういった資産はトラディッショナル資産に対して「オルタナティブ(代替)資産」と呼ばれています。

 

オルタナティブ資産の範囲は、「株式・債券以外」といった定義のもと、非常に幅広い資産が対象となります。代表的なものは、ヘッジファンド、ゴールド・穀物・原油などのコモディティ、未公開株式、そして不動産などが挙げられます。

 

こういったオルタナティブ資産をポートフォリオに加えることで、株式や債券の値下がりリスクをある程度緩和し、資産防衛に役立つと考えられています。

主なオルタナティブ資産①…ヘッジファンド

オルタナティブ資産は、機関投資家(金融機関や年金基金などプロの投資家)の資金運用に活用されています。また、一部の超富裕層が利用するケースもみられ、そういった面からも、資産防衛として有効な投資であることがうかがえます。

 

ただし、残念ながら、オルタナティブ資産は誰でも購入できるものではありません。たとえばヘッジファンドは、先物・オプションを利用したり、株式の買い・売りポジションをあわせ持つなど高度な運用手法を使ってリスクを限定し、それに見合ったリターンを堅実に追求していく金融商品です。

 

精密にリスクがコントロールされている有用な投資手段ではありますが、一口の購入単位が1000万円~1億円単位と通常は大口投資家向けです。また、自由に売買できる形では運用管理が難しく、成果も安定しないため、買付・売却に制限があることも珍しくありません。

主なオルタナティブ資産②…コモディティ、未公開株

ゴールド・穀物・原油などのコモディティは、トラディッショナル資産と異なる動きをすることが多いため分散投資として活用することができます。また、物価の「物」そのものなので、インフレ上昇にともなって値上がりする傾向があり、インフレリスク対策にも有効です。現在は、ETFなどを使ってカンタンに投資することができます。

 

ただし、コモディティ相場は一筋縄ではいかない難しさがあります。たとえば、穀物価格は天候や災害に、原油は政治情勢に大きく影響を受け、ゴールドはテロや戦争には強くてもドル高には弱い面があります。これらの価格変動要因を事前に予測することは非常に難しいものです。なお、コモディティの国内市場は成熟していないため海外投資が主流であり、そこには為替リスクもあります。

 

また、未公開株はかつて入手困難なものでしたが、最近は「エンジェル投資」としてクラウドファンディングで購入サービスを提供する会社も登場しています。

 

ただし、個人がひとつの企業に投資できる金額は1年間に50万円までと大変少額に抑えるよう法規制があります。なお、新興企業のビジネスリスクは千差万別で判断も難しく、資金を事業に投資する必要があるため配当は通常ありません。

 

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