(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年5月に金融商品取引法が改正されて誕生した「デジタル証券(ST:セキュリティトークン)」は、ブロックチェーンで管理されるデジタル金融商品のことを指します。デジタル証券の市場規模はまだ小さいものの、尋常ではないスピードで成長しはじめていると、PayPay証券の創業メンバーで現在はHash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏はいいます。「デジタル証券」の可能性と投資環境の未来について、三好氏が解説します。

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メガトレンドの形成も!グローバルでのST市場成長予測

現在のグローバルでのST(セキュリティトークン)の時価総額は、約36.7億ドル(約4200億円、2022年1月末)と、世界の株式時価総額の約119兆ドル(約1京3,600兆円、2021年12月末)と比べると10万分の3にすぎません。

 

しかしながら、ST時価総額は2021年初からの約1年間で6倍近い伸びとなっています(特にこの1月は大型の貴金属系STのオファリングがあり3倍増)。情報提供会社Security Token Marketによると、発行者と金融サービス業者に対する世界的な規制緩和が進み、業種横断的に大規模な資金調達のために使われていることが背景にあるとされています。

 

足もとで急速に拡大しているST市場について、専門機関では今後の成長をどのようにみているのでしょうか。

 

世界経済フォーラムは、2027年までに世界のGDPの10%がトークン化され、時価総額は24兆ドルになるものと予測しています。トークン化される資産は、株式、債券、投資信託、不動産、保険証券・年金・オルタナティブなどの金融商品に加え、商標・特許やレンタカーなどトークン化が可能なインフラプロジェクトを含みます。

 

出所: FINOA予測グラフより
[図表1]世界のST市場の成長予測 出所: FINOA予測グラフより

 

また、そのうち、日本の証券業界が注力している「不動産ST」に着目すると、その成長はメガトレンドになる可能性があるとされています。

 

イギリスの国際会計事務所ムーアグローバルによると、「今後5年間で、世界の不動産市場の総額280兆ドルのうち、わずか0.5%がトークン化されたとしても、1.4兆ドルの市場になる」とのシナリオを紹介しました。そして、「この動きは、企業の資金調達にかかるコストを引き下げ、不動産の売買を簡単にすることで潜在的な投資家の数を増やすことになるだろう」とも述べています。

 

一方で、トークン化された不動産の取引が一般化するにはそれなりに時間がかかる可能性があることも指摘されています。

 

それに関して、資産運用会社フィデリティ社が機関投資家や富裕層など1800人を超える投資家に調査したところ、70%以上がデジタル資産の購入を計画しており、90%以上が2026年までにポートフォリオに組み込む意向を示したとのことです。

 

この調査はSTに限定したものではなく、暗号資産なども含めてのデジタル資産が対象ですが、この「デジタル」に対する意欲の高さは、急成長シナリオの実現をサポートするものになろうかと思われます。

 

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