中国株は月前半に大幅下落
■中国株式市場は振れの大きい展開となっています。3月前半は、ウクライナ情勢の緊迫化に伴うリスク回避の動きの強まりに加え、中国がロシアを支援した場合に米国が対抗措置を取る姿勢を示したことや、新型コロナの感染再拡大を受けて広東省深センなどで都市封鎖が実施されたことが嫌気され、株式市場は急落しました。3月15日には、中国本土市場の上海総合指数は、約1年8ヵ月ぶりの安値を付けました。また、香港市場のハンセン指数は約6年ぶりの安値を付けました。
中国政府の市場支援策への期待で急反発
■しかし、3月16日に開かれた国務院金融安定発展委員会で、劉鶴副首相が「市場に有利な施策を積極的に打ち出すべき」との意向を示すと、市場支援策への期待から株式市場は急反発しました。また、米国上場の中国株の監査問題について米中双方の監督当局が対立の解決に向けて取り組んでいるとしたことも好感されました。市場のムードは一変し、中国株式市場はその後大きく上昇しています。
中国株式市場は底堅く推移
■ウクライナ情勢の緊迫化で地政学リスクが高まり、海外からの中国株売りが強まりましたが、3月16日の金融安定発展委員会で、市場に有利な施策を打ち出す方針が表明されたことにより、海外投資家の売り越しは一服するとみています。
■また、弊社は、中国政府の掲げる「共同富裕」は民間セクターの活力を削ぐものではなく、中間層を育成し、内需主導で成長を持続させる政策だと理解しており、中国政府の規制リスクについて過度な悲観論は不要と考えています。このため中国株式市場は底堅く推移するとみています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国株は振れの大きい展開』を参照)。
(2022年3月24日)
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