(※写真はイメージです/PIXTA)

いま現役で働いている人々は、将来どれだけの年金を受給できるのでしょうか? 現時点で最もあり得るのは、受給額が今後ずるずると減っていき、30年後には夫婦2人で月13万円しかもらえなくなるというシナリオです。このまま行くと、平均的な日本人が高齢期を迎えると、「長生き地獄」にまっしぐらとなってしまいます。安泰の老後を迎えるには、どうすればよいのか。年金月額13万円時代への対処法として、今回は「iDeCo」について見ていきましょう。

イデコだけで老後資金「2000万円以上」確保は十分可能だが…

掛け金が所得控除されるということは、投資した時点で、限界税率の分だけリターンが取れることを意味する。限界税率というのは、現在の所得から、1円所得を増やしたときに、何%の税金が取られるのかという数字だ。所得税や住民税の計算は煩雑なので、子ども2人の標準世帯(妻が専業主婦)の場合、年収ごとにどれだけの限界税率があるのかを示しておこう。

 

年収616万円以下:15%

616万円<年収<801万円:20%

801万円<年収<1214万円:30%

1214万円<年収<1431万円:33%

1431万円<年収:43%

 

例えば年収900万円の人が年間100万円の掛け金を支払ったとすると、その時点で、30万円が減税として戻ってくることになるのだ。こんなおいしい話はないだろう。

 

もちろん、掛け金には限度がある。限度を設けなかったら、金持ちが掛け金を大きく膨らませて、税を逃れてしまうからだ。

 

限度額は、以下のとおりとなっている。

 

自営業者:月額6.8万円

公務員等:月額1.2万円

確定給付型企業年金、確定拠出型企業年金のいずれもない会社員:月額2.3万円

確定拠出型企業年金のみがある会社員:月額2万円

確定給付型企業年金がある会社員:月額1.2万円

 

イデコの掛け金は最低月額5000円からで、上記の上限の範囲内で1000円単位で自由に決めることができる。途中で金額の見直しはできるが、途中解約や資金の引き出しはできない。加入できる年齢は20歳から60歳までだが、2022年5月以降は、65歳まで加入できるようになる。

 

仮にイデコで20歳から65歳まで45年間、企業年金のない企業に勤務する人の限度額である2.3万円を毎月貯め続けたとすると、65歳の時点で1242万円が貯まることになる。

 

これに減税で戻ってくる分が、限界税率を20%と仮定すると、248万円となるから、合計で1490万円を手にすることができる計算だ。実際には、ここに運用益が加わるから、イデコだけで2000万円以上の老後資金を確保することは十分可能だ。

次ページただし「中高年以降の投資」はリスク大

※本連載は森永卓郎氏の著書『長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋』(KADOKAWA)から一部を抜粋し、再編集したものです。

長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋

長生き地獄 資産尽き、狂ったマネープランへの処方箋

森永 卓郎

KADOKAWA

夫婦2人の公的年金「月額13万円」時代がやってくる――長生き地獄を避けるには? 高齢者の生活を支えてきた公的年金が、今後ずるずると減り続けていく。今から30年後には平均的サラリーマン世帯だった夫婦2人の年金が、月額…

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