値動きと日経平均が連動するような銘柄を選ぶ
資金を大きく増やすのに一番よい方法は、新興市場の「旬」銘柄でのデイトレードです。しかし、新興市場の「旬」銘柄を扱うには、まずどれが「旬」銘柄なのかを見抜く力が必要で、株式投資自体が初めてという初心者にはかなりハードルが高いといえるかもしれません。
そこで、デイトレードのスタートとしてお勧めしたいのは、新興市場の「旬」銘柄の対極ともいえる「東証一部銘柄」で「値動きの安定した株」を選んで取引をすることです。東証一部の安定株で利益を出したり、損切りをしたりというデイトレードを何度も繰り返すことで、デイトレードの感覚を養うことができます。
といっても、東証一部の銘柄なら何でもよいというわけではありません。まったく株価が動かないような銘柄や、逆にイレギュラーな動きをする銘柄ではデイトレードの練習としては難しくて不向きだからです。選んでほしいのは、日経平均がプラスなら一緒になって上がる、値動きが連動するような銘柄です。
寄り付きの株価、前場の高値、前場の安値から判断
まずは、日経平均に採用されている225銘柄や「優良株」といわれている銘柄から、値動きが日経平均に連動していそうな銘柄を20本選んでください。
その際、できれば業種は分散させること。また、最初は投資資金がそれほど多くはないと思いますので、株価が1000円以下(1単元1000株なら100万円必要です)の銘柄から選ぶのがよいでしょう。日経平均採用銘柄でも、100円台〜300円台の銘柄もいくつもあります。
次に、「日経平均」とピックアップした20本について、毎日、「寄り付きの株価」「前場の高値」「前場の安値」の三つのデータを取っていきます。ここで見るのは、日経平均がある程度上がった場合、利益が狙える株があるかどうか、寄り付き値と前場の高値の間にどの程度の価格差があるかの2点です。具体的には、以下のような感じでデータ取りをします。データの入力や管理はパソコンで行うのが効率的でしょう。
1.A工業 320円 328円 312円
2.B建設 480円 495円 478円
3.C商店 353円 353円 348円.
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20.T薬品 241円 245円 236円
データを取っていく中で、予想とは異なり日経平均とは連動しない銘柄、株価に動きのない銘柄はデイトレードには使いにくいため、他の銘柄に入れ替えます。相場環境や業績によっても、デイトレードに適した東証一部銘柄は変化することもあります。日々のデータを確認しつつ、時折、銘柄を入れ替えて、どの株がデイトレードに適するのかを見ていきましょう。
狙う利益の幅は、欲張らずに最初は1%とします。そこで、日々のデータを見て、前場のうちに寄り付きから1%上がる株があればその銘柄に注目します。日経平均がプラスに動く日に、連動して上がる銘柄でかつ1%の値幅取りができる銘柄、これこそが初心者がデイトレードでまず選ぶべき銘柄です。
損切りについても、どの時点での損切りが正しいか、大きく損しないで運用できる銘柄かどうか、この20本の銘柄でしっかり見ていきましょう。このようなデータ取りは、東証一部銘柄を使ったデイトレードの基本です。記録した20本の銘柄のデータをよく確認して、どのようなトレードをしたらよいかを考えてみましょう。そして、そこから実際に投資をスタートしていきましょう。
なお、東証一部銘柄を使ったデイトレードの場合も後場は取引せず、必ず前場だけの運用とします。東証一部銘柄のデイトレードは、大きな波に乗るようなトレードとは異なりますが、日経平均に連動して着実に1%の利益が取れる銘柄で成功体験を積んだり、損切りしたりできるようになれば、デイトレードの基本がきちんと身に付いたといえます。あとは、日々のトレードの中で、取引する株を増やして、経験を重ねていけばよいのです。