前回は、デイトレードを成功に導く「事前準備」のポイントを説明しました。今回は、デイトレードで「儲けられない投資家」の特徴について見ていきます。

最初から「大化け株」を狙っていないか?

儲かる投資家と儲けられない投資家の差はどこにあるでしょう。原因はさまざまですが、その一つは狙う値幅の違いです。儲けられない投資家は、最初から大化け株を狙っていることがよくあります。自分が買った銘柄が化けると思い込み、銘柄に惚れ込んで仕込み、大きく化けるまで待とうと考えがちです。

 

しかし、実はこれこそが「儲からない投資」の始まりです。買った後に短期間で50%上がることは、筆者の長い経験から言うとそれほど多くはありません。

 

200円の株が300円になる、1000円の株が1500円になる。そんなことは、全体相場の状況にもよりますが、東証一部銘柄なら1週間で50本取引して1本か2本、あるかないかではないでしょうか。イメージですが、確率でいうと5%以下というところだと思います。

 

考えれば分かることですが、大きく上昇する確率は小幅に値上がりする確率よりも当然低くなります。大化け株がないとはいいませんが、自分が買った銘柄が都合よく大化け株になることはそうそうありません。

確率の高い「小さな儲けの蓄積」が成功の秘訣

一方、短期間で1〜2%上昇する株は数多くありますから、確率を重視してこちらを狙うほうが非常に現実的です。

 

例えば、大きく下げた株がその後1〜2%戻るということは日常茶飯事ですし、逆に大きく上げた株が簡単に1〜2%下げることもあります。これもまたイメージになりますが、200円の株が1〜2%上昇する確率、金額にして202円や204円くらいに上がる確率は、1日から1週間もあれば60%程度はあるのではないかと思います。

 

確率から考えたら、1回買ってそれが50%上がるのを待つより、1%の上昇を50回繰り返すか、2%の上昇を25回繰り返すほうが確実です。つまり、デイトレードは確率の低い大きな儲けに賭けるのではなく、確率の高い小さな儲けを重ねていくことが非常に重要なのです。

 

200円の株が上がる確率はどのくらいなのか、あくまでイメージですが、あえて数字を出してみましょう。

 

200円の株が 100円(50%)上昇する確率は 5%

200円の株が 80円(40%)上昇する確率は 10%

200円の株が 50円(25%)上昇する確率は 20%

200円の株が 30円(15%)上昇する確率は 30%

200円の株が 10円(5%)上昇する確率は 40%

200円の株が 2円(1%)上昇する確率は 60%

 

このようなイメージを持っていれば、50%上がるのを待つより、1%取りで回数を重ねようと思えるのではないでしょうか。大儲けしているトレーダーの多くは、このように確率を重視したトレードを行い、資金を増やしているのです。

 

最後に、ここではデイトレードの話として説明しましたが、1週間程度のスイングトレードや、1週間〜1カ月のポジショントレード、さらには中期トレード、長期トレードでも、確率重視という基本は変わりません。中長期〜長期の場合は、確率重視の考え方を踏まえた上で、あえて長期保有にふさわしい銘柄をじっくり持つのだと思ってください。決して、安易に「長期保有だから大化けを狙っていいんだ」とは考えないことです。

本連載は、2015年3月17日刊行の書籍『知識ゼロ、資金ゼロから億万長者になれる株入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。投資はご自分の判断で行ってください。本書を利用したことによるいかなる損害などについても、著者および幻冬舎グループはその責を負いません。

知識ゼロ、資金ゼロから 億万長者になれる株入門

知識ゼロ、資金ゼロから 億万長者になれる株入門

鈴木 正剛

幻冬舎メディアコンサルティング

日本ではアベノミクスやオリンピック開催により、今後3年以上は株高トレンドが続くと見られています。この好機に、いよいよ株を買ってみたい、過去に失敗したけれど再チャレンジしてみたいと考える人が多い一方で、株は複雑で…

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