損失を確定すれば「新たなスタート」を切れる
前回紹介したアンケートとは逆の質問ですが、大きく儲けている人に「儲けるコツは何ですか?」と聞くと、誰もが決まって「損切りをしっかりすることです」と答えます。一見、儲ける話とは反対のことです。しかし、筆者もまったく同感です。儲けている人は、損切りの重要性を自身の体験を通して知っています。
大儲けした人のほぼすべてが、かつては損切りができずに一度は大損をしています。そのときに、損を拡大させないことの大切さを身をもって学ぶのです。一度大損して目が覚めると損に対して敏感になり、損を拡大させないためにスピーディーに損切りできるようになります。
損切りによって損失を確定すれば、その失敗はそこで終わります。あとは、別の銘柄に乗り換えて新たなスタートを切るだけです。
早めに損切りすることで、資金の減少を抑えることができます。資金を大きく減らしてしまい、銘柄選びで制約を受けることも少なくて済みます。また、株価が戻らない銘柄から上昇が期待できる銘柄に乗り換えるわけですから、もっと大きく儲けるチャンスが得られます。
これだけ挙げれば、早めの損切りで悪いことなど何もない、それどころか損切りこそが大儲けにつながるということが分かるはずです。
含み損を抱えたままでは「市場の流れ」にも乗り遅れる
それでも損切りができない、もしくは損切りはあえてしないという人もいます。なぜなのか理由を聞くと、たいてい次のような答えが返ってきます。
●損切りすると、損失を確定することになるのがイヤだから
●他の株に乗り換えた後に、損切りした銘柄が上がったら悲しいから
●他の株に乗り換えた後に、今度はその株が下がるのがこわいから
●今は含み損でも、いずれ買値に戻ってプラスになると思っているから
自分の銘柄選びに自信がないので、他の銘柄に乗り換えてもうまくいかないに違いないと弱気になり、いずれ買値に戻るはずと根拠のない希望にすがっている様子が伝わってきます。
もちろん、いずれ株価が買値まで戻る可能性は確かにありますが、さらに大きく下落することも十分あり得ます。特に、高値買いした新興市場株を持続しているケースでは、買値から80%、90%下落することも非常によくあるのです。
こうなってしまっては、買値まで戻ることは相当難しく、売却後に戻った資金でまた新たなトレードが行えますが、大きな含み損を抱えたままでは、例えば全体的に相場が上がる局面でも一人取り残され、含み損が少しでも減るのをじっと待っているだけになってしまいます。儲ける投資のためには、損切りが絶対に必要なのです。