(※写真はイメージです/PIXTA)

会計嫌いの経営者は少なくありません。しかし、会社の数字を理解し、追えるようになれば、今後のビジネスの見通しはもちろん、どのように収益や損失が生じているのか、手に取るようにわかります。会計士が平易に解説します。

「在庫ロス」の定義は、必ず社内で共有しておく

在庫ロスが起きる原因は、いくつか考えられます。

 

●在庫の整理が雑で、紛失してしまった

●事故で在庫の商品が壊れた

●品質の問題で返品となった

●納期遅れにより返品が起きた

 

在庫整理で大事なことは、このように具体的に「ロスとは何か」をはっきりさせることです。社員の間で在庫ロスのとらえ方が違うと、対策を取るのが難しくなります。

 

在庫ロスを定義したら、起きたときに状況を記録する体制をつくります。最初は社長自ら、きちんと記録できているのかをチェックするのが望ましいです。

 

このように体制を作ること自体が、「これはやってはいけない」という現場への意識づけになり、在庫ロスを防ぐことにつながります。また、現場の社員同士で声をかけあうなど、前向きな変化も期待できます。

 

また、在庫ロスの記録を続けていると、どのようなときに起きがちなのかが見えてくるはずです。

 

問題は、業務プロセスにあるかもしれませんし、使っている設備の不良や、現場の連絡ミスなど、さまざまなところにあると思います。こうした原因のなかから、特に改善効果が高いと見込まれるものからアプローチをしてください。

 

もう一つ、限界利益を上げるために有効な方法は、社内の営業担当の目標を「売上ベース」ではなく「利益ベース」にすることです。

 

売上ベースの目標にしていると、売上を増やすために、値引きをしたり、余計なおまけをつけたりする営業担当が増えてしまいます。そうした行為が利益アップにつながっていればいいのですが、多くの場合、そうなりません。結局は、タダ働きのような状態になってしまいます。

 

しかし、利益ベースの目標にすると、営業担当の行動も変わっていくはずです。顧客から値引きを求められたときに、「これ以上値引きしたら、利益が出ない」と気づきます。何か追加サービスを要求されたときも、「その分、値段をこれだけ加算します」という説明ができます。

 

こうした行動を続けると、採算の合わない顧客や商品を見分けられるようになるので、タダ働きを避けられるようになります。

 

決算書から売上高と利益をチェックしていくときには流れがあります。

 

①本日までの売上高は、前年の本日までの売上高を超えていますか?

②経営計画を超える売上高を出せていますか?

③限界利益の伸び率は、売上高の伸び率を超えていますか?

④超えているなら、限界利益率の改善に貢献した売上商品はなんですか?

⑤限界利益率が悪化したなら、その理由はなんですか?

⑥売上高よりも伸びている変動費はありますか?

 

このようなステップで変動損益計算書を定期的に見ることで、各質問に答えられるようになるはずです。変動損益計算書は、社長の「戦略家としての成績表」ととらえ、戦略がうまくいっているのか、そうでないのかを確認してください。そして、その結果に基づいて、次の戦略を立てていきます。

 

 

小形 剛央
税理士法人小形会計事務所 所長
株式会社サウンドパートナーズ 代表
税理士・公認会計士

 

 

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本記事は『たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

小形 剛央

幻冬舎MC

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