(※写真はイメージです/PIXTA)

もし取引数を倍にしたら利益はどうなる? いま現在、利益はどれぐらい累積している?…中小企業経営者がしばしば抱く疑問にも、基本的な会計の知識があればすぐに答えが求められます。ここでは「変動損益計算書」と「貸借対照表」の概要と活用方法について、経営者のサポートに尽力している公認会計士が、平易な例を用いて解説します。

「貸借対照表」で財務状態を読む

貸借対照表には会社の財政状態が現れています。具体的には、「会社に資産がどれくらいあるのか」「負債がどれくらいあるのか」「自己資金はどれくらい残っているのか」「利益はどれくらい累積しているのか」という点を把握することができます。

 

損益計算書が「一定期間」の動き(フロー)を表していたのに対して、貸借対照表は「特定の時点」における会社の財政状態(ストック)を表しています。

 

貸借対照表は英語で「Balance Sheet (B/S)」といいますが、これは「左右の合計額が必ず一致する(バランスする)」という特徴によるものです。

 

なぜ左右がバランスするのかは、貸借対照表の意味から理解することができます。

 

貸借対照表の右側には、自己資金や借金など、「会社がどのようにお金を集めてきたか」という情報が集められています。そして左側は、会社が持つ資産なので、「集めてきたお金が、今どう使われているか」を理解することができます。

 

B/S(Balance Sheet):貸借対照表
[図表2]バランスシートをお金の流れで読む B/S(Balance Sheet):貸借対照表

 

さらに詳しく、貸借対照表に書かれている情報を見ていきます。

 

まず貸借対照表の左側は「資産の部」と呼ばれ、現金や預貯金、商品、建物など、会社のあらゆる資産が計上されます。そして、同じ資産でも以下のルールで分類されます。

 

●流動資産: 通常の営業サイクルで生じる資産や、1年以内に現金化できる資産(例:現金、預金、製品、売掛金、受取手形、有価証券)

●固定資産:現金化するのに時間がかかる資産(例:土地、建物、車両)

 

次に、貸借対照表の右上は「負債の部」です。ここには、借金など将来支払わなくてはならない債務が記載されます。負債の部のなかは、「流動負債」「固定負債」に分類されます。

 

●流動負債: 通常の事業サイクルで生じる負債や、返済期限が1年以内の負債(例:買掛金、短期借入金)

●固定負債:返済期限が1年超の負債(例:長期借入金、社債)

 

そして最後に、貸借対照表の右下に来るのが、「純資産の部」です。「資産の部」と言葉が似ていますが、まったく意味が違いますので注意してください。

 

純資産の部に記載されるのは、基本的に「資本金」と「利益剰余金(過去に蓄積した利益)」の2種類です。資本金は株主からの出資金です。

 

負債と自己資本の違いを一言にすると、「返済義務があるかどうか」ということです。負債には返済義務があり、自己資本には返済義務がありません。この負債と自己資本を合計したものは、「総資本(総資産)」と呼ばれています。

 

貸借対照表を全体的にとらえることで、お金の流れが分かり、さらにさまざまな分析に活用することができます。「純資産に比べて、負債があまりにも大きいから、会社の存続が危うい」「1年以内に返済しなければいけない負債が増えている」といったことを理解することが可能です。

 

 

小形 剛央
税理士法人小形会計事務所 所長
株式会社サウンドパートナーズ 代表
税理士・公認会計士

 

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」

 

■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ

 

■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】

 

■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】

 

本記事は『たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学』(幻冬舎MC)より抜粋・再編集したものです。

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

たった3か月で売上高倍増!これだけは知っておくべき社長の会計学

小形 剛央

幻冬舎MC

「会計」と聞くと、「面倒だけどやらなくてはいけないもの」というイメージを持つ人は少なくないはずです。 税務申告のため、融資を受けるため、売上や利益の金額を確認するため…。会計の役割をそういったものだけだととら…

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録